クリスマスに巡るキリスト教「3つの聖地」~ナザレ・エルサレム・ベツレヘム
イエス・キリストの誕生を祝うクリスマス。イエスが活動した現在のイスラエル周辺には、キリスト教徒にとって特別な場所がいくつもあります。なかでも、ナザレ、エルサレム、ベツレヘムは重要な意味を持つ街です。クリスマス直前の3地域の様子を写真とともにお届けします。 【図解】「エルサレム」とはどんな場所か? 地理的、歴史的に振り返る
訪れた順にナザレ、エルサレム、ベツレヘム、と紹介します。
【ナザレ】イエスが青年期まで過ごした地
最初に足を運んだのはイスラエル北部の街ナザレ。あまり聞き覚えがない地名かもしれませんが、「聖母マリアがイエスを身ごもったことを告げられた場所」とされています。イエスが青年期まで過ごした街でもあり、イエスとその家族ゆかりの教会などが多くあります。 ナザレは現在、キリスト教徒とイスラーム教徒(ムスリム)が約半数ずつ、計8万人ほどが暮らすこぢんまりとした街です。
大天使ガブリエルが、マリアにイエスを受胎したことを告げたとされる洞窟の上に「受胎告知教会」が建っています。
教会内部は整備され、厳かな雰囲気が漂っていました。
教会内部には各国から贈られたモザイク画が飾られています。それぞれの国の風俗が色濃く反映されたマリアとイエスの肖像が並んでいました。日本からは、フレスコ画やモザイク画家として知られる長谷川路可(はせがわ・ろか。故人)による「華の聖母子」が飾られています。
世界中のキリスト教徒が巡礼に訪れるというナザレ。12月22日もイタリア、フランス、韓国などから巡礼に来た団体客が続々と訪れ、マリアが受胎告知を受けたとされる洞窟などを熱心に見学していました。同日は日曜日で、午前10時から始まったミサは、アラビア語で行われていました。
クリスマスを迎えるこの時期には、ナザレの街にクリスマスマーケットができます。今年(2019年)は22日までの三日間開かれており、多くの人々でにぎわっていました。
マーケットからほど近い場所にあるホスピス(巡礼者を迎え入れる宿)に勤めて11年になるという元銀行員の女性ヘンリエットさん(72)に話を聞いたところ、クリスマスの時期のみならず、ナザレには一年を通してキリスト教の巡礼者が絶えないとのことでした。 「巡礼の団体客で、予約は来年、再来年までいっぱいです」