米韓連合がホンダ・日産のライバルに 欧州は中国に接近、次世代車競争へ大手が戦略修正
脱炭素に向けて、電気自動車(EV)やソフトウエアを軸とする次世代車づくりの強化を迫られている世界の自動車大手に、経営戦略の軌道修正が目立ってきた。EVの普及ペースが見通しにくく、中国の新興EVメーカーとの競争も激化しているためで、ホンダと日産自動車の統合協議以外にも市場の勢力図を動かしそうな火種がある。 ■GM、現代自に傾斜か 米ゼネラル・モーターズ(GM)はホンダとの低価格EV量産を中止し、自動運転タクシー事業からも撤退する一方、韓国の現代自動車グループと9月に包括提携した。GMはホンダと燃料電池分野でも提携しており、低価格EVの量産を中止しても両社の協力関係は変わらないとしていた。 だが、比亜迪(BYD)など中国メーカーとの価格競争や米国での需要減でEV事業がつまずく中、GMは、規模でホンダに勝る世界3位の現代グループとの提携に活路を求めた形だ。現代グループはEVやハイブリッド車、燃料電池車(FCV)など脱炭素へ多様な技術の選択肢を持つ。 ホンダと日産の経営統合協議は、GMの「ホンダ離れ」と「現代グループへの傾斜」を促し、結果的に次世代車競争で強力なライバルとなる米韓連合の形成を加速させそうだ。 一方、中国の新興EVメーカー台頭の影響をより強く受けているのが、中国との関係が近い欧州メーカーだ。中国の低価格EVに苦戦する欧州大手は、中国メーカーのコスト競争力を取り込む提携へ戦略を修正しつつ、巻き返しへ収益力を改善する構造改革にかじを切っている。 ■欧州勢は人員削減も 欧州自動車大手ステランティスは中国EV新興の浙江零跑科技(リープモーター・テクノロジー)とのEV合弁に続き、今月には中国の車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)と共同でスペインにEV用電池工場を新設すると発表した。スウェーデンのノースボルトの経営破綻など、欧州連合(EU)が後押しする欧州電池メーカーの供給計画の頓挫を受け、中国企業との連携を強める。 独フォルクスワーゲン(VW)も中国市場で自社開発のEV販売が低迷する中、中国の新興EVメーカー、小鵬汽車と共同で2車種の開発を進めるなど、技術の現地化を推進している。