上原トレードの決断を迫られるレッドソックス
前半戦を終了して43勝52敗。首位オリオールズとのゲーム差「9.5」でア・リーグ東地区最下位に沈む昨年のワールドシリーズ王者、レッドソックスが、決断を迫られている。今季限りでFAとなる抑えの上原浩治投手(39)を今月末のトレード期限までに放出するか。それとも、再契約するのか。守護神の周辺が騒がしい中、後半戦開幕を前日に控えた17日(日本時間18日)、地元ボストンのラジオ局「WEEI」に電話出演したベン・チェリントンGMが注目発言した。 「今、メジャー30球団中、抑えが必要なチームな何球団あるか?」の質問に「Handful (一握り)のチームがいる」と5球団前後の球団が抑えの補強に動いていることを明かした。そのうちの1球団、エンゼルスは19日に、球宴抑え投手パドレスのストリートを獲得。他には、タイガース、ジャイアンツらが抑えの補強を狙っていると言われている。同GMは「しっかり3アウトを獲ってくれる抑えの存在は、プレーオフになれば更に大きくなる。04年はフォーク、07年はパペルボン、そして去年はコージが大きな役割を果たした。10月に11試合勝つ(地区シリーズ3勝、リーグ優勝決定戦4勝、ワールドシリーズ4勝)ためには、3人のような超一流の抑えが必要」と、過去3度の世界一を請け負った3人の抑えを挙げ、上原の市場価値をアピールした。 とはいえ、右腕ピービーについて同GMは水面下でのトレード交渉を認め、ピービー本人にも事情説明しているのとは対照的に、上原については慎重な態度を保留している。同番組の中で「他球団のGMが、コージはAvailable (応じられる)か、と聞いたら、何と答えているのか?」と質問されると「各球団と情報交換はしているが、まだその段階ではない」というに留めた。 若手先発が育ち、来季の構想にないピービーと違って、球団は上原について、トレードか、再契約か決断を先延ばしにしている。理由は主に2つ。1つは、一旦、プレーオフ争いから脱落した球団が正捕手ピアジンスキーを戦力外にして若手に切り替えた9日以降、18日の試合終了時点で5勝1敗。「ひょっとして…」と再び10月への色気が出てきたことにある。ファレル監督は9日に「ファンやチームに無言のメッセージを送った」と、事実上の白旗、ワールドシリーズ連覇断念を示唆したが、チェリントンGMは同ラジオでのインタビューで「2014年はまだ決まっていない」と発言。同調するようにファレル監督も後半戦開幕を前に「ここからの13連戦が分岐点になる」と微妙に修正した。 4位のレイズ・マドン監督も18日にツイッターで「ここから騒ぎを起こそうじゃないか」と逆襲宣言。これは、ヤンキースが前半戦12勝とエース級の働きをした田中将大投手の右肘靱帯部分断裂による最低でも6週間の離脱と、この日、左腕サバシアが右膝手術で今季絶望となった背景とも無関係ではないだろう。ブルージェイズが例年通り夏場以降に下降線を辿れば、残るは首位のオリオールズのみ。一旦、勝負あったかにみえたア・リーグ東地区が、混戦化する可能性が出て来たのだ。