上原トレードの決断を迫られるレッドソックス
もう1つの理由は、再契約を前提にした時に出てくるクオリティーオファー(QO)の背景だ。メジャーでは12年の労使協定を元にFA選手と再契約する場合、その年の年俸トップ125人の平均となる共通年俸で1年契約を提示するルールになっている。今年は約1500万ドル(約15億円)。これは、今季年俸500万ドルの上原にとって3倍増となるが、レ軍は元々、先発補強優先で抑えには大金を注ぎ込まない球団。07年優勝に貢献したパペルボンがFAになった時も熱心に後追いはしなかった。 今季、抑えでの最高年俸額は、パペルボンの1300万ドルだ。地元メディアでは「来年40歳を迎える抑え投手に、1500万ドルの投資は果たして妥当か」(ボストングローブ紙)という論調もある。 昨年、神懸かり的な活躍でチームをワールドシリーズ優勝に導いた守護神に対して地元人気は根強く、トレード情報などのネット記事には「売らないで」「上原と再契約すべき」と言ったレスが数多く書き込まれている一方、球団がクオリティーオファーを出すかは疑問が残るところだ。プレーオフの可能性をどこで見極めるか。上原という切り札をどのタイミングで使うのか。見返りにどんな交換要員をゲットできるのか。抑えを狙っていたエンゼルスは、球宴明けと同時にストリートを獲得して、チェリントンGMの手持ちのカードから消えた。一連の上原の処遇を巡っては、球団首脳のトレード市場を読む目も試されているのである。