阪神ドラ2の小野がキャンプ最終紅白で出した自己最速153キロの可能性
阪神が27日、沖縄・宜野湾でキャンプ最後の紅白戦を行い、ドラフト2位の小野泰己(22)が2イニングを投げて、ノーヒット、2奪三振、無失点の内容にまとめた。ストレートの最速は、153キロ。ほとんどの打者が、そのストレートに抑え込まれてファウルにするのが精一杯。外野には1本も飛ばせなかった。金本監督は「凄い。一発で前に飛ばすのは難しい」と絶賛した。ただフォークなど変化球には、プロの精度はまだなく、走者を出した後のセットの投球では、走者や癖を意識するあまり、球威が落ちて制球を乱すなどプロでの課題も浮き彫りにした。 しかし、阪神OBの江夏豊氏や野村克也氏が、「投手の原点」というアウトローに決まるストレートは、間違いなくプロで成功する条件を満たした投手のそれだった。 圧巻だったのは、昨季の新人王、高山俊へ投じた1球だった。カウント1―2から外へのストレート。反応力と、バットにボールを当てることにかけては、おそらく球界でも屈指のコントロール力を誇る高山が、おもわず腰を引いてスイングアウトしたのである。スコアボードの表示は153キロ、小野が富士大時代に、ドラフト後の明治神宮大会でマークしていた自己最速の152キロを更新した。 金本監督も、小野vs高山の対決に、ある確信を得たという。 「凄い球を投げていた。ずっと凄い、凄いと言っていたけど、本当に凄いでしょ? 高山に聞いても『低めがピュッと浮いてきてた』と言う。あの球威があれば、打者は一発目で前に飛ばすのは厳しいと思う。自分が打者で立っても下手したら2球はファウルで行かれる」 確かに2イニングで対戦した8人の打者は、中谷以外、全員がストレートを芯で捉えることができずファウルでカウントを悪くした。ルーキー対決となった大山は四球を選んだが、途中、バットを木っ端微塵に砕かれた。ただ一人ファウルのなかった中谷も、外のストレートに押し込まれてセカンドゴロ。 7回二死一、三塁で、鳥谷とのショートのポジション争いで一歩リードしている北條を迎えるとストレート一本勝負を挑む。最速は151キロで、全球が148キロ以上。最後は急成長中の北條も、148キロのストレートに押し負けて、キャッチャーフライを打ち上げてしまった。結局、2三振に3つの内野ゴロとひとつの内野フライ。外野へボールを打たせなかった。 元中日のレジェンド、山本昌氏が「ストレートの質はルーキーでナンバーワン」と太鼓判を押した、そのストレートに、もう疑いの余地はない。 だが、課題も出た。