松本パルコの観音像 閉店後の行方に心配の声上がる
松本パルコ(長野県松本市中央1)の来年2月の閉店に伴い、建物屋上にある観音像の今後を心配する声が街の人から上がっている。パルコの出店前、現地で営業していた百貨店「はやしや」が昭和37(1962)年に安置し、松本パルコが引き継いでからも毎月参拝して大切にしてきた。62年にわたって街の移り変わりを見つめてきた像だが、閉店後の方針が明らかになっておらず、「安住の地」を見通せない状況にある。 観音像は旧館の屋上にある。高さ約1.2メートル、幅約65センチの乾漆の座像で、金属製の廟(びょう)に納められている。像の背中には安曇野市穂高出身の彫刻家・小川大系(1898~1980)の作であることを示す「大系謹製」と「昭和三十七年七月四日造立 株式会社はやしや 社長 林栄一」の文字が彫り込まれている。普段は屋上に一般客は立ち入りできないため、存在を知る人は少ない。 松本パルコの依頼で平成14(2002)年から2回、像の修理を請け負った漆芸職人の荻村繁男さん(87)=中央3=は「とてもよいもの。大勢の人に関心を持ってもらいたい。行政も対策を考えてほしい」と気をもむが、市との間で協議を進めていた閉店後の後利用について、パルコ側が先月打ち切りを申し入れたこともあり難しい状況だ。はやしやの前に現地に建ち、像が安置された当時から現地に赴いて法要を営んできた生安寺も像の行方を注視する。 松本パルコの斉藤博一店長は、心配する声があることは聞いているとした上で「後利用が決まらない中で、観音像の今後についても何もはっきりしたことは言えない状況」とし「もう少し待ってほしい」と理解を求めている。
市民タイムス