『映画 ギヴン 海へ』で今井文也&坂 泰斗が感じたこと「人間って変わるんだな」
「人間って変わるんだな」
――改めて、お互いの役の魅力というのはどういったところに感じますか? 坂 僕から見て柊はやっぱり華。彼がいてくれないと玄純は成り立たないと思うんですよね。ある種、空気みたいな……居て当然だけど居てくれないと玄純っていうキャラクターは存在できないというか、だから特別自分のものにしたいというわけではないじゃない? 今井 うんうん。 坂 居て当たり前なんだけど、居てくれないと困るっていうアンバランスな感じ。 ほかの人は、柊のことを華のある明るい、人を惹きつける素敵な人だ、と感じると思うんですけど、玄純が見ているのは多分そこじゃないのでは、というところもありますね。 今井 今回の映画もそうですし、『ギヴン』の原作とか、いろんな情報を経て思うのは、人間って変わるんだな、ということですね。玄純を見ていると特に。今まではブレがないように見えていた玄純の、本当にふとしたところなんですけど、ある箇所で大きな気持ちの動きも感じましたし。あとは当人も気づいているのか分からないですけど、自ら変わろうとしていたりもするのかな、とか。そういうところがすごく生々しいな、と思います。 坂 そうだね。生きている人の感じだよね。 今井 人間、時間が経てば考え方だとかいろいろ変わってくると思うんですけど、そういうところがアニメのキャラクターの枠に収まりきってないような感じがして、人間味があるな、と思いますね。
もし、進む道に迷ったとしたら
――作中では恋や進路に悩むキャラクターたちの姿が印象的です。おふたりは進む道を決めるときに、大事にされていることはありますか? 今井 僕はわりとスッと決めますね。 ――直感型ですか? 今井 「やりたいんだったら、やるしかないでしょ」みたいな感じです。 ただ、メリット、デメリットがあるんですよね。ひとつのことにハマると、ずっとそればっかりやるので伸びるスピードは速いかなと思います。……なんですけど、それ以外は本当におざなりになっちゃうんですよ(笑)。私生活が全部台無しになっちゃう。全てがダメになった状態でひとつのことだけに集中するので、食事をとれていないときは大変でした。 ――だからこそ、つかめるものもあるんでしょうね。 今井 そうですね。一長一短だなと思いつつ。でも、そのぐらいのめり込めるものがあるのはよかったな、とも思います。 坂 僕も基本的に「やりたいこと」と「こうありたいな」っていうものを優先します。 まず自分の中で目標を定めて、そこに至るためのプロセスを考えて、考えが完成したら「よし、やるか」というタイプな気がします。目標はわりとパッとできるんですけど、そこに至るまでを考える時間は長い気がしますね。 ――作品を観られる方の中にも、登場人物が何かに迷っている姿に共感する方もいらっしゃると思います。迷っている方におふたりがアドバイスをするとしたら? 今井 「楽しい方を選ぼう!」ですね。 大事だと思いますね。悩んでいるときは、続けていてしんどくない、とか、こっちの道の方が気持ち的に楽だな、というほうを選んでおくといいと思います。僕も最近そういうことがあったんですけど「こっちのほうが楽しいな」というほうを選んだものが、自分なりに納得する形で収まったので。 坂 根本的には同じことなんですけど、僕は少し違う視点で、「自分自身が言い訳できない方を選んだ方がいい」ですね。「こっちを選んだけど、あっちの方が良かったかな?」とならない選択というか。こっちを選んだなら、最終的にちゃんと自分が納得できる方を選んだ方がいいんじゃないかなと。でも、多分結局は今井さんの言っていたところにたどり着くんですよね。 今井 通ずるところはありますね。 坂 だから後悔しない、言い訳をしない方向に選んでいけばいいんじゃないかな、と思います。 取材・文/ふくだりょうこ 撮影/友野雄 ■『映画 ギヴン 海へ』9月20日(金)より全国公開