独走ソフトバンクに“ある噂”「年俸の査定が変わった」真相を直撃「小久保裕紀監督は驚いて立ち止まり…」柳田悠岐が離脱も強い“決定的な理由”
激変を示す「ある数字」
着目したい数字がある。 あまり目立たないが、ソフトバンクが「リーグ1位」の部門、それは四球の数だ。62試合の消化はリーグで一番少ないにもかかわらず、220四球は断トツだ。元来、それほど四球を選ぶチームスタイルではなかった。昨季こそリーグで2番目に多い数(470四球)だったが、2022年までの5年間は四球獲得数では“Bクラス”(2018年以降、5位→6位→5位→4位→5位)だった。 四球で勝利をもぎ取った、そんな試合もあった。 6月2日の広島戦。延長10回2死走者なしから緒方理貢が8球粘って四球で次につないだ。2死一塁となり、続く近藤健介がライトスタンドにサヨナラ2ランを叩きこんで劇的勝利したのである。 その2日後、4日の中日戦でも緒方の四球が効いた。2-2の同点で迎えた9回表1死走者なしの打席で7球目を見極めてまたも四球で歩くと、その後2死二塁から栗原陵矢のセンター前安打で緒方は決勝点となる勝ち越しホーム生還を果たしている。 この2試合は極端な例だが、四球とは地味ながら得点のタネになる要素だし、試合の流れ自体に影響を及ぼすことも少なくない。
野球界に革命も「謎の最新鋭マシン」
では、なぜ今年のソフトバンクは四球が増えたのか。 その考察からまず思いついたのは練習法の変化だ。ソフトバンクは昨季途中に最新鋭の投球マシン「iPitch(アイピッチ)」を導入した。この機械は対戦する投手の軌道や球質などを忠実に再現できるのが特徴で、データを入力すれば実際の投手を仮想しながら打撃練習ができる。もしかしたら「このマシンは野球界に革命をもたらすのではないか」と思った。 通常の打撃練習では、バッターが打ちやすい球を打撃投手や投球マシンが投げてくる。打者はその中で自分のフォームを確認したり確立したりすることで打撃技術の向上や修正を行うのだが、アイピッチはその逆だ。だが、その代わり好投手を再現したボールと日頃から対峙することで「慣れ」という財産を得られる。たとえば「仮想佐々木朗希」と日々対戦することで、実際の試合でひるむことなく攻略できるようになるかもしれない。 ただ、昨年の導入直後の一軍選手たちの反応は芳しくなかった。シーズン途中ということもあり、「難しい」「試合前にやると逆に打撃を崩す」という声が聞こえた。「僕は投手の呼吸というか、相手を見ながら自分で足を上げてタイミングを取りに行くので、そこが難しかった」という具体的な意見も聞かれた。 そこで昨シーズン中はファーム施設の筑後でずっと使用されていたのだが、昨年二軍監督を務めていた小久保裕紀監督は「若手に使わせたら、確実に空振りが減った」と実感していたという。そんな経緯もあり一軍監督に就任してすぐの昨年の秋季キャンプから一軍主力選手にもアイピッチを活用した打撃練習を課すようになった。するとプロの適応力はやはりすごく、初めの頃は打撃練習で空振りや打ち損ないを連発していたのが少しずつ減ってきたのだ。現在では一軍のアーリーワークや試合前のバント練習でアイピッチが使用されている。
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