テクノロジーが切り拓く新たなユーザー体験
国内の百貨店でも、フロアの構成が異なり、デパ地下には地域独自の店舗や生鮮食品が並んでいるため、訪れるたびに新しい発見があります。ぜひ、旅行に行かれる際は、地元の百貨店に足を運んでみてください。
ユーザーとの共感を生む、五感に訴えるエクスペリエンス
私は仕事柄、全国の商業施設をいろいろと訪れた経験があります。特色がある商業施設がある一方で、首都圏、地方に関わらず、特にターミナル駅周辺のショッピングセンターはどこも同じようなテナント構成で、味気なさを感じます。コロナ禍を経てリアルへ回帰した今、再びリアル店舗の存在価値を考え直す時期がきていると思います。 先日、家族で外食中に百貨店の話題が出て、「小さい頃は〇〇デパートによく行って、あそこのラズベリーのジェラートが美味しかったよね」「私、今でもジェラートはラズベリーを頼む」と母や妹と思い出話に花が咲きました。帰り道には恋しくなって思い出のラズベリー味のジェラートを食べました。この幼少期の五感と結びつけられた記憶は、リアル店舗ならではの体験ではないでしょうか。 「商業施設=物を売る場所」という固定概念から考えると、「物を売ろう」という意識が強くなってしまいがちですが、「商業施設の来店者=消費者」ではなく、「その施設を楽しみに訪れたゲストまたはユーザー」というような感覚に切り替えることが大事なのではないかと思います。 昨今、オンライン・オフラインだけでなく、商業施設とエンターテイメント施設の境界線は曖昧になってきていると感じています。私の幼少期の思い出のように五感に強く結びついた記憶が、今度はテクノロジーを活用して、リアルとデジタルが融合する新たな体験価値として創出されることを期待しています。