テクノロジーが切り拓く新たなユーザー体験
リアル店舗でのxRの活用
話を商業施設に戻します。では、商業施設といったリアル店舗では、VRやAR、MRといったxR(クロスリアリティ)は、ユーザー体験にどう組み込まれていくのでしょうか? たとえば、VRに焦点を当てると、VRコマースが今後も成長するとされつつも、商業施設での具体的な利用にはいくつかの課題が存在します。VRによる仮想の商業施設では、2次元の画面上に存在する世界が臨場感に欠け、購買意欲を高めたり、ブランドへの帰属意識を醸成したりするのが難しいとの感想があります。また、商品情報の不足やデータ化の必要性などもハードルとなっています。 一方で、ARやMRといった技術は、現実世界のイベントや環境に対してリッチでインタラクティブなデジタル要素を組み込み、ユーザーに新しい体験を提供できます。前述の渋谷PARCOの事例だけでなく、商業施設のAR活用事例は多く見つかります。現在は、集客施設としてのイベントという立ち位置が主ですが、スマートグラスなどデバイスの小型化や通信環境の進化により、将来的にはxRによる複合的なアプローチが、一時的な集客だけでなく、継続的なコミュニケーションや購買体験の価値向上など、リアル店舗のユーザー体験を向上させるために活用されるでしょう。
デパート探訪してみませんか?
「わざわざショッピングセンターに行くなんて」というタイパ・タムパ優先勢の気持ちを理解しつつも、リアル店舗を楽しむ方法がもっと拡がって欲しいなと思っています。私は最近ポッドキャストを聞かない日はないくらい聞いているのですが、その中でも好きな番組は、ニッポン放送のラジオ番組「星野源のオールナイトニッポン」です。その番組で放送作家をされている寺坂直毅さんという方がいらっしゃるのですが、生粋のデパート好きとして知られています。 寺坂さんは幼少時からデパートが好きで、これまでにおそらく200以上のデパートを訪れたとのこと(ラジオコーナー説明の情報より)。百貨店愛が高じて、百貨店に関する書籍や記事を執筆されたりもしているようです。同番組内では「寺坂直毅のデパートに愛を誓って!」というコーナーを担当されており、各都道府県の百貨店について熱く語り、そのデパートでの楽しみ方を紹介しています。 寺坂さんのコーナーでは、まるで旅行のガイドブックのように各地の百貨店を取り上げ、その地域ならではの楽しみや特徴をとても魅力的に紹介しています。リスナーにとっては、まるで旅行気分で百貨店めぐりが楽しめるコーナーとなっています。私も同行者が許せば、国内外問わずその地域の百貨店や商業施設を訪れますが、ショッピングセンターよりも百貨店の方が特色が強い気がします。