テクノロジーが切り拓く新たなユーザー体験
テクノロジーが切り開く新しいリアル店舗体験
先日、私は渋谷PARCOの屋上で催された「冬の渋谷の夜空を彩るAR花火イベント ~ MIRAI HANABI in SHIBUYA PARCO~」というAR(Augmented Reality:拡張現実)イベントに参加しました。
スマートフォンアプリ「STYLY(スタイリー)」をインストールし、イベント会場内のQRコードを読み込むと、渋谷PARCOの上空に花火が打ち上げられ、照明や音楽の演出により臨場感あふれる体験ができました。
このイベントの特徴は、「花火の打ち上げが難しい都市部の市街地で、AR技術を駆使してこれまでにない花火イベントの体験を提供できる」という点です。「MIRAI HANABI」を体験する前に、このプロジェクトに関わった方々のトークイベントが開催されたのですが、その中で印象的だったのは、「LBX(Location Based Experience:その場所に行かないと体験できない価値)」という言葉とコンセプトでした。 従来、商業施設は、花火大会のための「浴衣を買いに行く場所」でしたが、今回のAR花火大会では「花火大会を見に行くために訪れる場所」となっています。渋谷PARCOという場所をベースとした、そこに足を運ばないと体験できないエクスペリエンスを、テクノロジーを活用して創り出すというアプローチがとられています。 商業施設のコンテンツとしては、期間限定のコンセプトカフェや催事が一般的でしたが、今後はこのようなテクノロジーを活用し、商業施設という場所や体験を拡張したユーザー体験の創出が増えていく可能性を感じました。
「Apple Vision Pro」の登場で身近になったMR
ところで、ヘッドセット型の空間コンピューティングデバイスを使用したことはありますか? 以前、私はVR(Virtual Reality:仮想現実)ヘッドセットをレンタルして試したことがあります。没入感には非常に感動しましたが、体質に合わなかったのか、頭痛や吐き気で休日が潰れるといった経験をしたため、以降は敬遠してきました。 この苦い経験から、ヘッドセット型のデバイスを十把一絡げに捉え、MR(複合現実)についての情報も積極的にキャッチアップしようとしていませんでした。映画の中で表現されている「MR」の世界しかイメージできず、現実社会においてどのような影響をもたらすのかには理解が及ばなかったことも、積極的になれなかった理由です。 しかし、「Apple Vision Pro」のプロモーション動画を見て興味がわきました。動画を見ることで「これが近い将来実現する世界なのか」と明確にイメージできたからです(残念ながら、実際に「Apple Vision Pro」を体験できてはいませんが…)。 販売後のレビューでは、「ギーク向けの商品だ」「高すぎる」「対応アプリが少ない」といった否定的な意見も見られましたし、現実世界で街中を歩きながら使用するのはまだ難しいようです。ただ、「Apple Vision Pro」の登場により、MRという言葉が身近に感じられるようになったことは事実ではないでしょうか。