【西新橋便り】混戦JRA賞最優秀マイラー ロマンチックウォリアー66票は1戦のインパクトに集約
7日の午後3時過ぎ、JRA賞の受賞各馬が発表された。各スポーツ紙の記者は都内のJRA本部で発表の瞬間を、今か今かと待つのが毎年の恒例行事となっている。ドウデュースは文句なしの年度代表馬選出だった。最優秀4歳以上牡馬の選出は各部門賞で唯一、有資格者256人全員から票を集めた。 一方で、最も票の行き先が分かれたのが最優秀マイラーだった。ソウルラッシュ182票、ロマンチックウォリアー66票、ジャンタルマンタル5票、ステレンボッシュ1票、「該当馬なし」にも2票が入った。自分は得票上位2頭の2択で最終的にソウルラッシュに入れたのだが、個人的な“票読み”ではもっと接戦になると思っていた。シェアの大小こそあれ、いろんな意見があるのだろう。 とはいえ、ロマンチックウォリアーが手にした66票は語り継ぎたくなる結果だ。同馬は香港の英雄。海外馬であるために、24年のJRA賞選考対象レースは来日Vを飾った安田記念のみだった。JRA所属馬と違い、ホームで日本馬を下したクイーンエリザベス2世C、香港Cなどは対象外だった。つまり、評価は1戦のインパクトに集約されている。 かつてのJRA賞はJRA所属馬、地方競馬所属馬のみが選考対象だった。外国馬に開放されたのは08年から。前年までに中山GJ3連覇を成し遂げたカラジが規約を動かした一因だと推測するが、同年以降に記者投票で票を得た馬はのべ4頭だけだった。 10年エリザベス女王杯勝ち馬スノーフェアリー(最優秀3歳牝馬=1票) 11年エリザベス女王杯勝ち馬スノーフェアリー(最優秀4歳以上牝馬=1票) 13年中山GJ勝ち馬ブラックステアマウンテン(最優秀障害馬=1票) 15年高松宮記念勝ち馬エアロヴェロシティ(最優秀短距離馬=1票) 3冠牝馬アパパネ、牝馬のJC優勝馬ブエナビスタ、中山大障害圧勝アポロマーベリック、年間6戦無敗モーリス…。過去の外国馬には、強力なライバルが立ちはだかっていた。ロマンチックウォリアーは外国馬による9年ぶりのJRA・G1優勝馬。22年秋より使用が始まり、多くの外国馬を受け入れた東京競馬場の国際厩舎の存在も大きかった。近い将来、同馬の活躍がJRA賞のターニングポイントになったと振り返る日が来るかもしれない。【松田直樹】