“人間をしのぐAI開発”がすでに進行中? 「チャットGPT」開発会社CEO解任劇の裏に…謎のプロジェクト“Q*”
IT各社が競ってAI(=人工知能)をリリースする“AI元年”となった2023年。利便性が注目された一方、誤情報の拡散や、AIに仕事を奪われるなどのリスクも指摘される。「チャットGPT」の開発会社で進行中とされる、人間をしのぐAI開発に向けた謎のプロジェクト“Q*”とは。 【画像】ニューヨークタイムズ 「チャットGPT」を開発したオープンAIなどを提訴
■“AI元年”に歴史的ストライキも…「AIが仕事を奪う」
2022年11月のオープンAIの「チャットGPT」公開を皮切りに、グーグルの「Bard(バード)」、イーロン・マスク氏が率いるxAIの「Grok(グロック)」など、IT各社が競って生成AIを発表した。世界全体の市場規模は2023年、約489億ドル(=約6兆4000億円)と推計され、2030年には2070億ドル(=30兆円近く)に達すると見込まれている(スタティスタによる)。
2023年は、ロックバンド「ザ・ビートルズ」がAIを使って、故ジョン・レノンさんが40年以上前に楽曲制作の過程で録音した音源をもとに“最後の新曲”となる「ナウ・アンド・ゼン」を完成させるなど、AIはその有効性を示した。 一方で、ハリウッドの俳優や脚本家らは「AIに仕事を奪われる」として使用の規制を求め、ストライキに突入。2つの団体の同時ストは63年ぶりとなった。AIに原則、脚本作りをさせないなど、利用基準を設けることで決着したが、AIをめぐっては今後、さまざまな業界でルール策定が必要になってくることを強く印象づけた。
■謎のプロジェクト“Q*” 「チャットGPT」開発会社CEO解任劇の裏で…
「チャットGPT」を開発するオープンAIの取締役会は2023年11月17日、「サム・アルトマンCEOが退任する」と明らかにした。突然の解任劇に従業員の大半が抗議し、アルトマン氏はわずか4日後に復帰した。オープンAIは11月29日、取締役を刷新する新体制を発表。アルトマン氏は声明で「AGI(汎用人工知能)を安全に作っていくチームにとって最も重要なことは、不確実な状況に対処し、最初から最後まで的確な判断力を維持することだ」などと述べた。 ※AGI(汎用人工知能)=Artificial General Intelligenceの略。従来の「将棋を指す」や「人に代わって車を運転する」など特定分野に特化したものではなく、自ら学び、課題を解決できるAI。人間と同じレベルで判断し、タスクをこなせる知能を指す。