160キロで農道を疾走!轟音響かせるラリーカーの迫力に度肝を抜かれた 最高峰の大会に53万人、愛知・岐阜で開かれた世界選手権をリポート
公道を舞台とする自動車競技の最高峰、世界ラリー選手権(WRC)の今季最終戦「ラリー・ジャパン」が11月16~19日に愛知、岐阜の両県で開かれた。12年ぶりの日本開催となった昨年に続く開催で、今年からは「ラリーの聖地にしたい」と愛知県豊田市がメインの主催者になった。 勝田貴元、5位でゴール ラリー・ジャパン最終日
のどかな田園や山あいの道路が競技場となり、カラフルなマシンが疾走。5市1町に設けられたステージや沿道には、応援のため53万人が集まった。観光資源としても期待されるラリーの魅力を報告する。(共同通信=内堀康一) ▽リアルミニ四駆 11月16日夜、普段はサッカーJリーグの試合が開かれている豊田スタジアム(豊田市)にラリーカーのけたたましいエンジン音が響いた。場内放送が完全にかき消されるほどの轟音と迫力に、思わず息をのむ。 天然芝の代わりにアスファルトを敷いた特設コースを2台のマシンが同時に疾走する。後輪を滑らせる「ドリフト走行」をしながら急コーナーを曲がり、山なりの立体交差では大きくジャンプ。1台ずつ走ってタイムを競う通常のラリーとは異なる光景は「リアルミニ四駆」とSNSで話題になった。 世界ラリー選手権は「ル・マン24時間」に代表される世界耐久選手権(WEC)やF1(フォーミュラ1)と同じく、国際自動車連盟(FIA)が開く最高峰の自動車競技だ。欧州や南米での人気はF1にも劣らず、中継映像を世界で年に8億人が視聴するとも言われている。
その中でも最上位のカテゴリーが「ラリー1」だ。直列4気筒のレースエンジンとハイブリッドシステムを組み合わせたパワーユニットの最高出力は約500馬力。水素と二酸化炭素(CO2)からつくる合成燃料とバイオ燃料をブレンドした燃料を使う。 ラリー・ジャパンは1月の「ラリー・モンテカルロ」(モナコ・フランス)から開幕した年間13戦を締めくくる最終戦。トヨタ、韓国のヒョンデ、米国のフォードの3チームが参戦し、トヨタから4台、ヒョンデから3台、フォードから2台の計9台が出走した。 ▽八丁みそ×ラリーカー ラリーは路面の状態によってターマック(舗装路)、グラベル(未舗装路)、スノー(雪道)に分類され、ラリー・ジャパンはターマックに当たる。一般車の侵入を禁止した公道など11カ所に22ステージを設け、タイムアタックを繰り返して合計タイムを競う。 道幅が狭く曲がりくねった日本の道に、各チームのドライバーは「攻略が難しい」と口をそろえた。明治30年(1897年)に造られた旧伊勢神トンネル(国の登録文化財)は道幅が車1台分ほどしかない。山間部の峠道や、田園と神社の合間をラリーカーは縫うように走った。