離れて暮らす母の「認知症」が進行し、迷子で「警察」に迎えに行くことも! 会社の有休も使い切り今は「欠勤扱い」だけど、どうすればいい? 3万円以上の減収で介護との両立が難しいです…
介護休暇や時間外の免除等さまざまな支援措置がある
仕事と介護の両立のため、図表1のとおりさまざまな支援制度があります。 介護期間中は、「介護休暇」を年5日まで取得できます。時間単位の取得も可能です。要介護状態の家族の介護・世話をするための休暇であり、通院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせ等に活用しましょう。 さらに、労働時間にも次の支援措置があります。介護終了まで何回でも請求可能です。 ●所定外労働の免除(残業免除) ●時間外労働の制限(残業制限)1ヶ月24時間、1年150時間超の時間外労働を制限 ●深夜業の制限 午後10時~午前5時までの就業を制限 また、「選択的措置義務」として、次の措置が事業主に義務づけられています。 利用開始から3年以上の期間内で2回以上、短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤・費用助成のいずれかを利用できる措置を講じること。2025年4月からは、テレワークも努力義務としてメニューに加えられる予定です。 図表1
厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 及び 次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要
介護離職は社会的損失、経営面でも重大な問題
仕事と介護の両立の問題については、厚生労働省のみならず、経済産業省でも重大な問題と認識されています。すなわち、超高齢社会の日本で、生産年齢人口の減少の中、仕事をしながら介護に従事する、いわゆるビジネスケアラーの数は増加傾向です。試算では、2030年時点で約318万人、経済損失額は約9兆円にもなるのです。 介護者本人の心身負担のみならず、経済全体でも介護に起因する労働損失の影響は甚大であり、政府として、喫緊の対応が必要と考えられてきました。従業員が抱える介護の問題は、本人のパフォーマンスの低下や介護離職などにつながり、結果として、企業活動の継続にも大きなリスクとなる、由々しい問題です。 企業が仕事と介護を両立できる環境を整備することは、従業員のキャリア継続だけではなく、経営面でも人的資本経営実現や、人材不足に対するリスクマネジメントとして有効です。
まず自分が行動しよう
まず、勤務先とよく話し合い、職場の仲間の協力も仰いで、介護休業等の支援策を十分に活用してください。それが、自身も会社も救い、後に続く職場の仲間たちにも貴重な先例となるのです。 出典 厚生労働省 地域包括支援センターについて 厚生労働省 介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて 厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び 次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要 経済産業省 「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を公表します 執筆者:玉上信明 社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
ファイナンシャルフィールド編集部