「まるで映画のワンシーン」在米ブラジル人が見た超大型ハリケーン「ミルトン」からの避難
「過去100年で最悪の事態になる可能性がある」――バイデン米大統領が警鐘を鳴らす超大型ハリケーン「ミルトン」が、米南部フロリダ州に現地時間9日午後11時にも上陸する見通しだ。この事態に備え、人々は食料品や水の備蓄、窓への鉄板の取り付け、現金の引き出しなどの準備を進めている。米国在住ブラジル人が報告した現地の状況を8日付G1が報じた。 ミルトンは、人口330万人を超える密集したタンパ都市圏を直撃する見込みで、別のハリケーン「ヘレン」によって約2週間前に壊滅的な打撃を受けたばかりの沿岸地域を再び脅かすと予想されている。 同地域在住のアナ・パウラ・クレセンシオさんは、自宅のあるウェストショア地区が危険区域に指定され、避難命令が出されたため、急遽自宅を離れる必要があったという。彼女は同じコンドミニアムに住む他の4組のブラジル人家族と合流し、タンパから2時間の距離にあるオーランドの大都市圏、セントクラウドに向かった。 タンパのガソリンスタンドには長蛇の列ができ、北に向かう州間幹線道路75号線では避難民が逃げ惑い、7日には長い渋滞が記録された。アナさんによれば道路の交通渋滞が酷く、スーパーも混雑して騒然としており、さらに食糧不足や燃料不足の心配も大きいという。 「私たち10人のブラジル人は一緒に7日にタンパを離れました。もし状況が悪化したら、ここも離れて州北部に向かう予定です。みんな不安を抱えています。私は自宅1階に住んでいるので特に不安です。自宅を離れている間に、すべてを失う危険がありますから。私たちのコンドミニオはちょうどレッド・エリア(ハリケーン警報発令地域)に位置しています」と説明した。 さらに「私は身分証明書、食料、水だけを持ち自宅を出て、ここセントクラウドに着くのに5時間もかかりました。買いだめのためにスーパーはどこも混雑。港湾ストライキの影響が事態をさらに悪化させていて、ハリケーンが来る前から人々は備蓄を始めていたため、ガソリン、水、缶詰の食品が消えてしまいました。簡易マットレスさえ見つからず、滞在先の家では全員分の寝具がありません」と付け加えた。 「私たちは皆、不安でたまりません。タンパ都市圏の出口は騒然としている。まるで映画のワンシーンのようです。ホテルさえ見つけられない人々がいるのです」と心情を吐露した。 ミルトンの急成長により、バイデン大統領は7日、フロリダ州全土に非常事態を宣言。これにより米国内で過去8年間で最大規模の住民避難が発生すると予想されている。