『オクラ』杉野遥亮演じる不破利己の過去が明らかに 『ニッポンノワール』との共通点も?
「ハイド・アンド・シーク」が意味するものとは?
利己は少し先走ってしまったようだ。美佳への思いが目を曇らせたのか、クールな利己らしさは後退し、タイパを無視して事件にのめりこんだ。いや、むしろこれが本当の利己なのだろうか。身近な誰かのために自分のことを度外視して情熱を傾ける。第4話ラスト間際で、鑑識の愁(観月ありさ)に千寿に協力する理由を尋ねられる場面があったが、美佳と壮太の事件に限らず、未解決事件の捜査そのものに、自分の生きる道を見出したようにも見えた。 単独行動でバディの片割れが絶体絶命のピンチに陥り、相棒が助けに向かう王道パターンで幕を閉じた第4話。新山の名前が検索でヒットしなかったのは、別の犯人がいるからである。誰が、何のために犯行に及んだのか。さしあたっては、利己の後頭部にヒットした鉄パイプが急所を外れていることを願うばかりだ。 10年前に殉職した、倫子(白石麻衣)の父で千寿のかつてのバディである結城(平山祐介)が口にした「ハイド・アンド・シーク」は何を意味しているのだろう? 脚本の武藤将吾は過去にも『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)で、特定のフレーズが引き金になって相手に暗示をかけるギミックを用いていた。結城を撃ったのが千寿なら、結城の発した「ハイド・アンド・シーク」がそうさせたのか? 千寿がひた隠しにする秘密と塗り替えられた記憶にも注目したい。
石河コウヘイ