給食無償化を70年以上続ける町に聞いた、できた理由とは? 「無償」から「完全給食なし」まで“自治体格差”も
「国際条約上、日本政府に課された義務を果たすためにも、国として給食の無償提供の枠組みを整えるべきなのです。こういう指摘をすると、すぐに『財源をどうすればいいのか』という議論になりますが、財源の確保はそれこそ政治家の仕事でしょう」(福嶋さん) 給食費の無償化の議論は、保護者の経済的な負担軽減からも必要です。しかし、私たち大人は、福嶋さんが指摘するように、まず子どもの権利をいかに守っていくか、子どもたちのために何ができるかというところから議論を始めるべきではないでしょうか。 (取材・文/西島博之) 〇福嶋尚子(ふくしま・しょうこ)/新潟大学大学院教育学研究科修士課程を経て、2011年、東京大学大学院教育学研究科の博士課程に進学。15年から千葉工業大学で教職課程の助教として勤務し、教育行政学を担当。現在は准教授。16年12月に博士号(教育学)取得。「子どもを排除しない学校」「学校の自治」「公教育の無償性」の実現、「教職員の専門職性」の確立を目指して研究を続ける。
西島博之