「投資家・孫正義」を疑う市場
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SBGは2016年9 月、英半導体設計会社「アーム」(Arm)を約240億ポンド(当時約310億ドル、約3兆3000万円)で買収した。その約3カ月後、SBG はエヌビディア株を購入している。 エヌビディアは1993年に設立され、ゲーム用パソコンやデータセンター向けの画像処理半導体(GPU)や、GPUを使ったビデオカードを製造してきた。当初、GPUはパソコンの中央演算処理装置(CPU)の画像処理を補助するような位置付けだったが、膨大な計算が求められる人工知能(AI)のディープラーニングに向いていることからその評価が高まった。中国で仮想通貨の マイニング (中国では21年5月に禁止)用にGPU需要が急増した波に乗り、エヌビディアの業績は急伸。株価は2018年10月、当時の過去最高の終値289.36ドルをつけるに至った。 SBGによるエヌビディア株の購入価格は1株105ドル、約29億ドル(約2762万株)を買っていた。2年足らずで倍以上になったのは、さすが孫氏というべきだ。ところが、エヌビディア株は最高値を付けたあと急落に転じる。米中対立による中国経済の失速が、中国市場の売り上げ依存度の高かったエヌビディアを直撃したのだ。株価は18年12月末、直近の最高値の半分以下の133.52ドルまで急落してしまう。
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後藤逸郎