モネの名作「睡蓮」が描かれた、ジヴェルニーの「モネの家」と「水の庭」【モネの足跡をノルマンディに訪ねる】
「睡蓮」が描かれた、日本風の「水の庭」
まず、「水の庭」を訪ねました。セーヌ川の支流から引き込んだ細い水の流れ沿いに、竹林と枝垂れ柳に囲まれた道が伸びていて、そこを抜けるとグリーン色の日本風の「太鼓橋」が現れます。日本から持ち込んだと言われるフジの花が橋を彩っていて、モネが太鼓橋のヒントを得たとも言われる、安藤広重の「名所江戸百景 亀戸天神境内」を彷彿とさせます。 「水の庭」の周りには、ツツジ、モミジなども植えられていますが、残念ながら現地の庭師の人たちには手入れが難しいらしく、かつての日本庭園の姿からは程遠いようにも感じました。「いつか日本の庭師が手入れしてくれれば良いのですが」とアンヌさんも残念そうでした。 「水の庭」には、さまざまな色の睡蓮が浮かんでいます。揺れ動く水面を眺めていると、映っている空の青に白い雲が浮かび、ゆっくり流れていきます。風で揺れる枝垂れ柳の緑の葉枝の間から、その様子を見つめているうちに、100年前のモネの姿が浮かんでくるかのようです。 「水の庭は、朝、昼、夕刻で、色彩が変わっていきます。ですから、本当は、1日に2~3回訪れたら素晴らしいことですが(笑)」と、アンヌさん。モネの「睡蓮」の連作の数々を思い出しながら、ゆったりした時間を過ごしたいものです。 次回は、モネのアトリエのあった「モネの家」の母屋、そこに飾られているモネの浮世絵コレクションの数々と、芸術家村ジヴェルニー誕生の物語をご紹介します。
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