日本人俳優のハリウッドデビュー映画5選!
ハリウッドでもセンセーションを巻き起こした! 松田優作『ブラック・レイン』
サイレント映画時代に大スターとなった早川雪洲から、新潟生まれロンドン育ちのミュージシャンで『ジョン・ウィック コンセクエンス』でアクションを披露したリナ・サワヤマまで、日本人のハリウッドデビューには110年の歴史があるが、最も伝説として語り継がれているのが『ブラック・レイン』に出演した松田優作だろう。 松田優作が演じたのは伝統に逆らう新興ヤクザの佐藤。ニューヨークで殺人を犯し、マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシア扮する刑事コンビによって大阪まで護送されるも、空港に到着するや否や逃亡し、大阪のヤクザ界に激震を巻き起こす。凶暴で仁義もへったくれもなく、いつキレるかわからない予測不能な極悪党。しかし孤高のカリスマ性を備えた、映画史に残る強烈なヴィランとなった。 オーディションではリドリー・スコット監督を前に迫真の演技を披露して役をつかみ取った松田だったが、当時すでにガンに侵されていた。延命治療よりも映画出演を選び、病のことは隠し通して演じ切り、日本公開の一ヶ月後に世を去った。『ブラック・レイン』の佐藤役はハリウッドでもセンセーションを巻き起こし、ロバート・デ・ニーロと共演するオファーもあったというが、惜しくも『ブラック・レイン』が遺作となった。
本田宗一郎をモデルにした役どころ! 三船敏郎『グラン・プリ』
1950年代、『用心棒』や『七人の侍』といった黒澤明作品で“世界のミフネ”となった三船敏郎には、世界中からオファーが舞い込むようになるが、ついに外国作品に初出演したのはハリウッド映画ではなく、1961年のメキシコ映画『価値ある男』だった。しかも主人公であるメキシコ人の農夫をスペイン語で演じるという一風変わった企画だったが、アカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど作品は高い評価を得た。 そして待望されたハリウッド映画に初登場したのが、1965年の『グラン・プリ』。F1グランプリの頂点を目指す4人のカーレーサーを描いた3時間の超大作で、三船は主人公のひとりであるアメリカ人レーサーをスカウトする、カーレースチームのオーナー矢村役。本田技研工業の創業者でホンダのレースチームを率いた本田宗一郎をモデルにした役どころで、短い出番ながらもさすがの貫禄を発揮している。 ただし、日本語以外のセリフはボイスアクターのポール・フリーズによって吹き替えられており、突然声も変われば三船ならではの威厳も減ってしまうのがいささか残念。また三船は『スター・ウォーズ』のオビ・ワン・ケノービ役を断ったと伝えられており、もっと世界で活躍する可能性があったことを思うと、これまた残念ではある。