【便秘】食物繊維を取りすぎて悪化 隠れた“病気”とは? 消化器外科専門医が教える改善の“コツ”
食物繊維は「水溶性」「不溶性」の2種類
食物繊維は、私たちの体の消化酵素では分解できない食物の成分です。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ異なる働きを持っています。 水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になる性質があるのが特徴です。ワカメやリンゴなどに多く含まれています。腸内で水分を吸収して膨らみ、適度な便のかさをつくり、便通を整える効果があります。また、腸内細菌の餌となって、腸内環境を整える働きもあり、便通改善に寄与します。 一方、不溶性食物繊維は水に溶けない性質があり、玄米や野菜の皮、豆類などに多く含まれています。不溶性食物繊維は腸の中で便のかさを増やし、腸壁を適度に刺激することで、腸が波打つように動く運動である「蠕動(ぜんどう)運動」を促進させます。また、便の水分量を調整する効果もあります。 食物繊維は、適切な量を摂取すれば便秘の改善に効果がありますが、効果を実感するまでには時間がかかることがあります。すぐに効果が現れないからといって、急に摂取量を増やすと一時的に症状を悪化させる可能性があります。 その理由は、主に3つあります。まず、食物繊維は水分を吸収する性質があるため、十分に水分を摂取していないと腸内の水分を奪ってしまい、かえって便を硬くしてしまう可能性があります。 また、食物繊維は腸内細菌によって発酵されますが、急に摂取量を増加させると過剰な発酵を引き起こし、おなかの張りやガスの増加を引き起こす可能性があります。 そして、腸が急な食物繊維の増加に適応できず、腸の運動機能が追いつかないことで、かえって便の滞留時間が延長してしまう可能性があります。
便秘にお勧めの食べ物は?
食物繊維を効果的に摂取するためには、段階的な増量が重要です。突然、摂取量を増やすのではなく、1週間ごとに少しずつ増やしていくことをお勧めします。現在の摂取量から1日1~2グラム程度増やすのが適切です。 また、食物繊維の摂取には十分な水分補給が欠かせません。食事の際はコップ1杯の水を飲むことを心掛け、1日の水分摂取量は「体重(kg)×30ミリリットル」を目安にしましょう。例えば、体重が60キロの人の場合、計算式は「60×30ミリリットル」となり、1800ミリリットルの水を摂取するのが望ましいです。 食物繊維は、水溶性と不溶性をバランスよく摂取することが大切で、最初は水溶性食物繊維の摂取から始めるのがお勧めです。果物やヨーグルトなど、普段から食べ慣れているものから取り入れていきましょう。