「栞の父親は俺だ」。美羽(松本若菜)の「罪」に夫が下した“審判” 『わたしの宝物』6話
ドラマ『わたしの宝物』(フジ系)は、夫以外の男性との間にできた子どもを、夫の子と偽り、産み育てる「托卵」を題材に描く。神崎美羽(松本若菜)と夫の宏樹(田中圭)は仲の良い夫婦だったが、結婚から5年が過ぎ、美羽は宏樹のモラハラに悩まされている。だが、幼なじみの冬月稜(深澤辰哉)と再会したことで、美羽の人生は大きく動くことになる。6話、真実を知った宏樹が、美羽に告げた言葉とは。 【イラストで見る】ドラマ『わたしの宝物』
子の存在を知らされない“父親”
このドラマでは、血のつながった父親が、自分に子どもがいることを“知らないまま”過ごしている。美羽が冬月との子ども=栞を妊娠し、産み育てていても、美羽が彼に知らせない限り、冬月は「自分の子どもがいること」を知らないままだ。 それは、親になることも、親としての責任を果たす機会さえも与えられないということ。くしくも、2024年夏の月9ドラマ『海のはじまり』(フジ系)で、子の存在を知らされず、いきなり父親としての役割を果たすことになった主人公・月岡夏(目黒蓮)とも重なる。 美羽の会社員時代の後輩であり、雑貨店を経営するシングルマザー・小森真琴(恒松祐里)も「父親が子どものこと何も知らないままなんて」と口にしていた。彼女の元夫であり、息子の父親は、父親らしいことを何一つしないし、息子に会いたがっていないらしい。 美羽と宏樹、そして冬月をめぐる問題は、喫茶店のマスター・浅岡忠行(北村一輝)が示唆したように、真琴には関係のないことだ。しかし、彼女が3人に異様に執着し、ねじ曲がった正義感を発揮するモチベーションの源は、子どもに由来するのかもしれない。宏樹や美羽のため、というよりは、大人の都合に振り回される子どもに同情を寄せているようにも見える。 6話において、結局のところ冬月は、詳しい真実を知り得ることなく終わった。真琴の計らいにより、美羽と引き合わされた冬月だが、美羽からは「これは私の家族の、夫婦の問題だから。冬月くんには関係ない」と突っぱねられてしまう。 このまま冬月は、栞が自分の子どもだと知らないまま生きていくのか。水木莉紗(さとうほなみ)の想いに応える道を、模索していくのか。「人を好きになる方法は、一つじゃないと思う」と莉紗に言った冬月。この物言いがどれだけ残酷で、人の心情を軽視しているか、彼は気付いていないように思う。