中国株の急騰、米トレーダーには響かず-中国刺激策巡る懸念で隔たり
(ブルームバーグ): 新興市場が全盛期だった頃であれば、中国株を急騰させた突然の熱狂はウォール街でもビッグニュースとなっていただろう。
しかし、今回の世界第2位の経済大国における株式市場の復活は、米国のトレーダーにはほとんど印象に残っておらず、米経済のけん引役としての中国の限定的な役割と中国の政策立案者が成長に関する根深い問題を解決できるかという疑念の両方を浮き彫りにしている。
9月30日の取引では、その熱狂の喪失が顕著だった。中国本土株の指標であるCSI300指数が8%超上昇した一方、S&P500種株価指数は一時下落した。終盤には持ち直し、ある指標では2008年の金融危機以来最大となる米中の乖離(かいり)が回避されたものの、中国株の指数が過去6営業日で26%上昇したのに対し、米国株の指数は1%高にとどまるなど、米国株のトレーダーがアジアの投機熱をほとんど看過していることが顕著となっている。
とはいえ、海外投資家が手をこまねいているわけではない。住宅購入に関する規制の緩和など中国の一連の政策緩和措置を受け、多くの上場投信信託(ETF)投資家が中国の大手企業やテクノロジー株などに投資する米上場ファンドに資金を投じている。
ただ、この新たな市場の熱狂は依然として主に地域的なものにとどまっている。近年では中国が巨大債務問題で相場を浮揚させるのに苦戦していた一方で、大手テクノロジー株への熱狂によって米国株が過去最高値を付け、米中市場の隔たりが広がった時期があり、今回はその最新のものとなる。
モルガン・スタンレーのチーフ米株ストラテジスト、マイク・ウィルソン氏はブルームバーグテレビジョンで、中国の刺激策は「米国の成長軌道を有意義な形で変化させるのか。答えはまさにノーだ。米国では労働市場の改善を目にする必要がある」と述べた。
米国株は今年も、また、新型コロナウイルス禍後の大半の期間においても、アジア株を圧倒している。一方、経済活性化に向けた中国政府の取り組みは、度重なる政策の失敗により、根強い疑念に直面している。