死刑執行2年連続なし、袴田巌さん再審無罪など影響か…未執行死刑囚は106人
死刑の執行が今年は一度も行われないことが27日、確定した。刑事収容施設法は、土日祝日、12月29日~1月3日には死刑を執行しないと定めており、年間を通じて執行がないのは2年連続となる。静岡県一家4人殺害事件で、強盗殺人罪などで死刑となった袴田巌さん(88)が再審無罪になったことなどが背景にあるとみられる。
法務省によると、未執行の確定死刑囚は106人。今年は、2人が病気などで死亡し、2人の死刑が確定した。
刑事訴訟法は「死刑執行の命令は判決確定の日から6か月以内にしなければならない」と定めるが、実際の執行の時期や対象者は法相の判断に委ねられている。
2018年には、オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚(執行時63歳)ら15人の刑が執行されたが、22年7月の秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚(同39歳)を最後に、2年半近く執行がないままとなっている。
この間、袴田さんの再審開始が23年3月に確定し、今年9月、袴田さんに再審無罪判決が言い渡された。23~24年に法相を務めたのは斎藤健氏、小泉龍司氏、牧原秀樹氏で、今年11月に鈴木馨祐氏が牧原氏の後任として法相に就いた。
死刑制度を巡っては、国会議員や捜査当局の元トップ、犯罪被害者遺族らが11月、国会や政府に対し、制度の存廃などを検討する会議体の設置を提言した。鈴木法相は世論の多数が制度を容認していることを挙げ、執行の停止や制度の廃止には否定的な考えを示している。