「“警察官の子供が殺人犯”と出てほしくないんや」警官の父が“隠蔽した”兵庫・岡山女児連続刺殺犯の素顔《余罪100件》
「息子には、自供してほしくない」利己主義の父親
飛松氏が勝田の両親との面会を始めたのは、18年に津山市の事件の犯人として勝田が逮捕され、報道されたことがきっかけだ。 「津山の事件については、父親も母親も『やってない』と言うんやけど、わしが『やっとるやろ? 親父あんた、警察やろ。警察がいい加減な調べで逮捕状取らへんやろ』と言うと、両親は『やってないと思ったんやけどなぁ……。実際に警察が来たし、アンタも来たしなぁ』と、とにかく不安がっていました」(同前) 飛松氏は、元同僚である父親のことを「ごっつ見栄っ張り」と評する。 「主に交通畑を歩んでいた人なのに、『自分は捜査一課の刑事やった』とか、『署長やった』とか、あることないことご近所さんに言い回っていたみたい」(同前) 小学生のころから「自分の親は金持ちだ」などと嘘ばかりついて同級生たちを呆れさせていた勝田の原点は、親譲りの見栄っ張りだったのか。そしてその見栄が、真相に蓋をした可能性がある。父親は、飛松氏にこんな話をしたという。 「ホンマに言うたらね、息子には、自供してほしくない。(殺人を)やっとっても、黙っとってくれ。黙っとったら警察は(着手)せえへんのやから。否認しとったら、どないにもならへん」 飛松氏が「子供をフォローするんが親やんか」と諫めると、「もう言わんでほしい。言うてほしくない親の気持ちが分からんのか」と逆上した。飛松氏は言う。 「とにかく自分のことで精一杯やった。長時間話したけど、もう全部が利己主義ですよ。でも、本人の本音やったと思いました。息子が死刑になることよりも、それが新聞で報道されて“警察官の息子が殺人犯”と世間に思われることの方が嫌だったみたいです。息子については『もう死んでくれたらいいんや』とまで言っていましたから」 息子が津山市の事件について自白したことについても、元警察官らしからぬ不満を抱いていたという。
「俺が死ぬまで喋るな」息子への口止めを依頼
「なんで津山のこと言うたんやろ。黙っとったら分からん事やのに。『もうこれ以上喋るな』って息子に言ってくれ。これ以上、恥かかさんといてくれ。警察官として誇りをもって死なせてくれ。俺が死ぬまで喋るな」 と飛松氏に息子への口止めを依頼。息子の余罪について隠蔽工作を図ったというのだ。飛松氏が続ける。 「これは想像やけど、息子にも面会で言うとんちゃうかな。『死ぬまで喋るな』と」