高齢の父、死去…「健康保険証」はどうしたらいい?【相続専門税理士が解説】
相続発生時に相続人の方々が頭を痛める問題に、健康保険証の扱いがあります。加入者が亡くなれば返却しなければなりませんが、健康保険の種類によって返却先や返却方法が異なるため、注意が必要です。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
亡くなった方の「健康保険の資格喪失」に伴う手続き
80代の父が他界し、いろいろな手続きを進めています。困っているのは、これまで使っていた「保険証」についてです。父の死に伴い、どのような手続きが必要になるのでしょうか? 会社員(50代・埼玉県春日部市) 人が亡くなった際、亡くなった方の保険証は返却する必要があります。もし、亡くなった方が世帯主だった場合は、家族の保険証も返却しなければなりません。また、返却と同時に、健康保険の資格喪失の手続きをする必要があります。 そもそも健康保険は、「国民健康保険」「社会保険」「後期高齢者医療保険制度」の3つがあり、それぞれで資格喪失の手続きが違います。 異なる点としては、主に「誰の手続きをおこなうか」「どこで手続きをおこなうか」「期限はいつまでか」の3点です。まずはこれらの手続きについて、順番に説明していきます。 ◆国民健康保険の資格喪失手続き 国民健康保険は、自営業や正規雇用ではない方が加入する保険です。資格喪失の手続きは、死亡した日から14日以内に地域の役所でおこないます。自治体によっては、死亡届を出すことによって自動的に資格喪失となる場合もあるため、自治体のホームページなどをよく確認のうえ、手続きをおこなってください。 また、亡くなった方が世帯主だった場合、その家族も資格を失います。そのため、保険証がなくなった家族は、世帯主を変更したうえで、新しい保険証を発行してもらう必要があります。 ◆社会保険の資格喪失手続き 社会保険はサラリーマンなど、会社に勤めている方が加入している保険です。手続きは亡くなった方が勤めていた会社がおこないます。 従業員が亡くなったという連絡を受けた会社は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届と厚生年金保険70歳以上被用者不該当届を提出します。こちらの手続きは5日以内におこなう必要があるため、亡くなったことがわかり次第、すぐに会社に連絡をするようにしてください。 健康保険証は死亡日の翌日から使用できなくなるため、扶養されていた人は、新たに加入の手続きをおこなう必要があります。 ◆後期高齢者医療制度の資格喪失手続き 後期高齢者医療制度は、65歳から74歳の障害認定を受けている人や75歳以上の方が加入している健康保険です。資格喪失の手続きは死亡した日から14日以内に地域の役所でおこないますが、国民健康保険と同様に、死亡届の提出によって自動的に資格喪失となる自治体もあります。 いずれの場合も、亡くなった方の保険証の返却が必要となります。
【関連記事】
- 「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】
- 30代長男の死…嫁は「私たちを頼らないでください」と言い残し、孫を連れて海外移住。食堂で働き詰めの高齢母が、涙をこらえて遺した〈まさかの遺言書〉
- 〈子のいない夫婦〉退職金3,000万円で実現する「穏やかな老後」が一転、66歳夫が急逝…65歳妻が行政書士から告げられた「衝撃事実」
- 「もうムリ、ごめんね」50代独身ひとりっ子、年金15万円・80代の同居母を残し、生まれて初めて実家を離れた切実理由
- 40代独身・一人っ子男性「親は貯蓄なし」「老人ホームに入ってもらいたいが…」頭を抱えるワケ