「いざとなると難しい」冷静に謝罪する準備の方法 「伝えること」と「伝えないこと」をどう整理する?
謝罪の際にとても難しいのは、これらの線引きができていない際に、伝えるか、伝えないか迷うことです。伝えたほうがいいことが抜けたり、伝えないでもいいことを言って脱線したり、伝えるべきことを伝え漏らしたり、伝えるべきでないことをたくさん伝えてしまうことです。 ■「X責任計画法」は謝罪のコミュニケーションの方法 間違った判断をする場合もあります。気持ちが後ろ向きになって、責任を果たすことよりも自分の立場を守ることに意識が向きがちになるのは、人の性です。
これらを避けるために、事前に説明責任と道義的責任に分けて、計画しておき、冷静に、でも心は温かく、謝罪のコミュニケーションをするための方法が、この「X責任計画法」です。 この計画があれば、謝罪のために、こんな「説明」ができるかもしれません。 社員A「おはようございます。まず冒頭に、皆様にお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。この会議までに仕上げるべき資料がまだ出来上がっておりません。半分ほどの完成度にとどまっております。
実は、昨夜の会食後、最終電車を逃して、徒歩で帰宅したものの、十分な準備とまでにはいきませんでした。もちろん、会食前にも作業する時間はありましたので、申し開きはせず、明日までにはしっかりと仕上げさせていただきます。 こんな朝早くにお集まりいただき、このような大事な会議に際して、誠に申し訳ありません。今後はこのようなことが起きないようにいたします。申し訳ございませんでした」 ……どうでしょうか? 私が上司ならば、ここからさらなる追及をしたり猛省を促す言葉をかけたりするよりも、まず「終電後、どうしたの? 大丈夫だった?」「今日中には間に合いそう?」「何か手伝えそうなことがありますか?」など、きっと思うところがあっても伝えない、伝えられないことを伝える機会を、提供したくなるかもしれません。
またとても重要なことですが、キーメッセージとして「事情を伝えたい」「釈明したい」ということよりも、「謝罪したい」ということのほうが、しっかりと伝わってきますね。 このようなより適切なメッセージ設定は、エビデンスを「X責任計画法」に従って整理できていればこそ、できるものだと思います。
岩澤 康一 :コミュニケーションコンサルタント