冬日が年に半分以上…設備手作りの別海 センバツ21世紀枠選考経過
第96回選抜高校野球大会の出場32校を決める選考委員会が26日に行われ、21世紀枠は別海(北海道)と田辺(和歌山)の2校が選ばれた。 【写真特集】センバツ出場の知らせを受け喜ぶ選手たち 21世紀枠は出場枠の再編により、今大会から1枠減って2校となった。これまでは東日本、西日本に分けて1校ずつを選んだ後、全体から3校目を選んでいたが、今大会は東西の区分けを廃止して全国から2校を選んだ。 特別選考委員による順位づけの評価表でポイントの高かった別海をまず選んだ。残り1枠は別海を除いて評価の高かった4校を中心に議論し、田辺を選出した。 別海は北海道東部の別海町に位置する。最低気温が0度未満の冬日が年に半分以上あり、日照時間が短いが、農業や漁業に従事する町民の支援を受け、手作りの練習設備を利用する姿などが高校野球の理念にふさわしいと評価を受けた。マネジャーを含めて部員19人ながら昨秋は全道大会初勝利を挙げると、準々決勝は延長タイブレークを制して4強入りした。最東端の甲子園出場校となる。 ◇田辺、対話重視の姿勢を評価 田辺は1896(明治29)年創立で、120年以上の歴史を持つ伝統校。田中格監督がスクールカウンセラーと連携し、対人関係の相談に乗ったりするなど対話を重視。精神的にも一人一人をこまやかにフォローするという点が、これからの時代の一つのあり方として評価された。昨秋の和歌山大会で市和歌山、智弁和歌山の強豪を破り、準優勝を果たした。 新たに特別選考委員に加わった柔道女子でオリンピック2連覇の谷本歩実さんは「これまでも選手選考に携わったことがあったが、ここまで悩む選考はなかった。選手の顔と同時に地域の人たちの顔も一緒に浮かび、心が洗われた。今のスポーツ界で最も重要な社会的価値を重視し、その意義をより体現している学校を選んだ。選手たちには持っている力を信じ、全力を尽くしてほしい」と活躍に期待した。【村上正】