ユーロ2024開催地で50年前に見たW杯 トータルフットボールを封じたドイツのサッカーは強く魅力的だった
連載第2回 サッカー観戦7000試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」 なんと現場観戦7000試合を超えるサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。第2回は先週末の6月14日に開幕したユーロ2024の開催国、ドイツのサッカーと歴史について。 【画像】ドイツ、スペイン、イングランドほか ユーロ2024 注目チームのフォーメーション 【50年前のドイツで初めてのW杯観戦】 今年のサッカー界の最大のイベント、UEFA EURO 2024(ユーロ2024)がいよいよ開幕。6月14日の開幕戦では、開催国ドイツがスコットランドに5-1と大勝した。 ドイツはワールドカップ(W杯)では2大会連続でグループリーグ敗退に終わり、昨年秋にはホームで日本代表に完敗するなど低迷していたが、最新のテクノロジーやデータを駆使する若き指揮官ユリアン・ナーゲルスマン監督の下で完全復活したようだ。選手間の距離を短くしたドイツ代表は正確な高速パスを交換して、スコットランドが構築したコンパクトな守備を完全に崩しきった。 フロリアン・ビルツという21歳の若手が先制ゴールを決め、さらに同じ21歳のジャマル・ムシアラが追撃弾......。まさに、新時代の到来を思わせる快勝だった。 ただ、まだ1試合を終えただけではある。対戦相手のスコットランドは伝統国ではあるが、決して欧州の強豪というわけではないし、何といってもスコットランド戦では大きなホーム・アドバンテージがあった。 ドイツ代表の主軸はバイエルン・ミュンヘンの選手であり、開幕戦はミュンヘンのアリアンツ・アリーナで行なわれた。まさに彼らのホームだったのである。 さて、今年のEUROの舞台となるドイツは、僕にとって懐かしい国だ。 というのも、今からちょうど50年前の1974年に、僕が人生で初めてW杯観戦に訪れた国だからだ(当時は、西ドイツ)。その後、2022年カタールW杯まで合計13大会を観戦してきたが、やはり初めての大会での印象は強烈だった。