トランプ氏、パナマ運河通航料引き下げ要求-応じなければ米に返還を
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領は21日、パナマ運河が米国の軍艦や商船に対して「法外な通航料」を課していると指摘した。料金引き下げを要求し、そうでなければパナマは運河を米国に返還すべきだと主張した。
トランプ氏は「パナマが課す料金はばかげている。米国がパナマに示してきた並外れた寛大さを踏まえるとなおさらだ」と自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿。「わが国に対するこの完全な『ぼったくり』は直ちにストップするだろう」と表明した。
米国はパナマ運河にとって最大の顧客で、毎年、通航貨物の約75%を占める。だが長引く干ばつで、大西洋と太平洋の間を往来する船舶の運航に支障が出ている。国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は先週、これに伴う混乱がサプライチェーン圧迫要因の一つだとし、インフレを押し上げているとの見解を示した。
パナマ運河庁は20日、2024年度の国庫納入額は24億7000万ドル(約3900億円)と、2年連続の減少になったと発表した。
米国は1914年に全長51マイル(82キロメートル)の運河を完成させたが、77年にカーター元米大統領が署名した条約に基づき99年にパナマに返還した。トランプ氏はこの動きを「愚か」と評した。
同氏は、パナマ運河は中国が管理するものではないと指摘し、誤った相手に渡るリスクがあると示唆した。中国は同運河の2番目の顧客で、香港に拠点を置く中国企業1社が、運河に隣接する5港のうち二つを管理している。
「これは他国のためではなく、米国とパナマの協力の証しとしてのみ与えられたものだ」と同氏は表明。こうした寛大な姿勢を巡る原則が「道徳的および法的に順守されないなら、パナマ運河が完全に、何の異議もなく返還されるよう要求する」と主張した。
ワシントンにあるパナマ大使館はコメントの要請に今のところ応じていない。パナマ政府当局者は21日遅く、トランプ氏の発言を認識しており、翌日ごろに公式に回答すると語った。同運河のスポークスマンは政府の回答までコメントを控えると述べた。