使い勝手悪い?激変した「青春18きっぷ」の問題点 自動改札を通れるという改善点もあるが…「もはや別物」
■変わらないネーミングで混乱は起きないか これらのことは、JR各社も熟慮の決定であろうから、18きっぷの売り上げが減るのは覚悟しているに違いない。 むしろ、今回のルール改定の最大の問題点は、ネーミングが変わっていない点ではないか。これほどに利用方法が変わったにもかかわらず、相変わらず「青春18きっぷ」を名乗っているが、筆者は新しい18きっぷはもはや「青春18きっぷ」ではないと感じる。先日まで発売されていた「秋の乗り放題パス」と内容が似ているので、「冬の乗り放題きっぷ」「春の乗り放題きっぷ」などとしたほうが、よほどすっきりする。
多くの利用者の間では、18きっぷは期間内に任意の5日間、複数人数でも可能ということが浸透しているので、同じネーミングでまったくルールの異なる切符を発売することで混乱を招くのではないか。知名度のある商品だっただけに新しいルールが浸透するのに時間を要すると感じる。 ちなみに券売機で購入する場合、従来でも利用開始日を押す必要があった(押してもその日に利用するという意味ではなかった)。ところが次回からは利用日を決めてからしか購入できなくなったので、「とりあえず買っておく」ということもできなくなった。
筆者はかつて旅行会社で海外格安航空券や海外の宿泊を手配していた経験があり、ヨーロッパ旅行では「ユーレイルパス」(各国別のもの含めて)も扱っていた。当初「ユーレイルパス」は連続する15日間、21日間有効などであったが、移動日と観光の日のメリハリが付けにくいことから、「1カ月の間の任意の5日間」などという「ユーレイルフレキシーパス」というタイプが主流となった。これは世界の多くの地域での流れである。 それを踏まえると、今回の18きっぷのルール改定は、時代の流れに逆行している。日本各地の観光振興にプラスになるとは思えないし、観光業関連の人たちにも歓迎されないであろう。