使い勝手悪い?激変した「青春18きっぷ」の問題点 自動改札を通れるという改善点もあるが…「もはや別物」
では、ヨーロッパではこの「任意の5日間」といったルールの切符をどうやってうまく機能させているのだろう。かつては紙の切符を駅員や車掌が目視して確認していたが、現在はスマートホン上のアプリに表示されるQRコードを自動改札機や車掌が携帯するスマートホンで読み込んで、有効な切符かどうかをチェックしている。 ■モバイル版で従来の18きっぷを復活させてはどうか 筆者は、海外の鉄道を紹介するたびに、日本のIT化の遅れを指摘しているが、今回のルール改定にあたって海外の事例を参考にすることなどは行ったのだろうか。日本の鉄道は安全性、時間に正確な運行、利用者のマナーのよさなどから、世界一の自負があるのであろうが、旅客サービス面では世界に後れを取ってしまった。
いずれ日本でも、長距離切符はアプリからの購入が主流になるであろう。海外に負けないためにも「青春18きっぷモバイル版」などとして、任意の5日間で利用できる切符の復活を期待したいし、そのほうが日本全体の観光振興にも役立つはずである。物価高や円安などから海外旅行が低迷している時期に、国内旅行にまでマイナスのニュースで途方に暮れる人が続出しないことを願うばかりである。
谷川 一巳 :交通ライター