2024年「司法の不祥事」相次ぐ…弁護士・裁判官・警察官・検察官が行った“世紀末”的な違法行為とは?
「裁判官」がインサイダー取引疑い
10月19日、証券等取引委員会が、金融庁出向中の裁判官に対して、インサイダー取引の疑いで強制調査を行ったという話が出てきた。こちらの事件は在宅起訴段階であり、現時点で犯罪行為があったと断じられるわけではない。 しかし、報道からすると、過去にも株の取引履歴がある者が、金融庁に出向して株式公開買い付け(TOB)に関する情報を得られる立場になった後で、その銘柄の取引を繰り返すようになっていたという事実があるようである。 主観面や、秘匿性の高い行為を立証する時は、直接立証する手段がないことから、その前後の重要な事実の立証をもって、法の適用に必要な事実が立証できていると考える。本件も、情報の取得と利用という、前後の部分が固いとすると、インサイダー取引としての認識などは立証されたと評価されることになる。 しかも、取引の傾向変化は評価がともなうので、ともかくTOB取引が行われていることが間違いなさそうであれば、犯罪はあったものと評価されてしかるべき状況に、すでに至っている。現状、私は不正があったものと考えている。 実はこのニュースを見た時、私は裁判官の不正として真っ先に連想したものがあった。それは、司法修習時代に、全員ではなくとも一部の裁判官候補者によって、間違いなく行われている不正のことだ。 司法修習には、起案と呼ばれる試験がある。司法修習修了時を含めて複数回、受ける機会があり、評価もつく。その評価は、裁判官への採用などにも影響するものと考えられており、上位評価であることが期待されているのも事実だ。 この試験で用いられる事件記録は、実際の事件をもとにしていることから個人情報の漏えいなどを防ぐため複写などが禁止され、修習修了時には回収処理などされている。ところが、裁判官になろうとする上位成績希望者の間で、代々「過去問」が出回っているのである。 あくまで司法修習のためだけに、秘伝として管理されており、漏えいのリスクはかなり低いから良いといった思考なのだろう。ただ、裁判官になる前の第一歩から、仕事に就く、成績において他人を上回るという個人的な利益のために、不正を働いている者がいる。この事実を知っていれば、裁判官がインサイダーと聞いても、「やるやつもいるだろうなあ」と思ってしまうのである。