トヨタもセブンも時価総額でみんな惨敗…!それでもなお、20年後も一流であり続ける「日本唯一の巨大企業」の名前
世界から「注目される商社」の残念なところ
7 三菱商事(時価総額14兆円)VS.マイクロソフト(同486兆円) 最後に時価総額最大のマイクロソフトについて考えてみます。 日本の一流企業でマイクロソフトと類似点のある会社を見つけるのは難しいというのが私の本音です。ただ三菱商事は世界中の企業と関係しているという点、ビジネスのサプライチェーンにその存在が不可欠であるという点で、名前を挙げさせていただきました。 もうひとつ言えば、マグニフィセントセブンとその規模が匹敵するアメリカ企業であるバークシャーハサウェイ、これはアメリカ最大級の事業投資会社でもあるのですが、それとも匹敵するという点でも総合商社の雄の名前を挙げておくべきだとも考えました。 実は今回挙げた日本の一流企業7社の中で「20年後もやはり一流の巨大企業であり続けている」という条件に確実に入るだろうと私が予測できるのは、この三菱商事一社だけです。 その強みは人的資本経営にあります。海外の投資ファンドとは異なり、社内に有力な人材を多数抱えており、その人材が投資ポートフォリオのビジネスを拡大することで総合商社は成長を続けています。 さらに言えば五大商社が競争するだけでなく仮に経営統合したとしたら日本の総合商社は時価総額でマグニフィセントセブンに匹敵する存在になるうえに、世界唯一のユニークなビジネスモデルの企業になるはずです。 逆に言えば、そのような形で世界のトップを目指すのではなく、国内の五社でもう何十年もの間抗争を繰り広げているという点が総合商社の限界かもしれません。金融業界で起きたように、あっというような合併でメガ商社が誕生しなければ、マグニフィセント(凄い)な存在には到達できない。それが三菱商事の欠点かもしれません。
日本企業が劇的復活するたった一つの「処方箋」
さて、このように対比をすることで日本の一流企業がなぜマグニフィセントセブンになれないのか、要素を挙げることはできます。では逆に、どうすればわれわれはマグニフィセントセブンを生むことができるのでしょうか。 ポイントは3つあります。 ひとつはグローバル市場を支配する野望をもつこと。 ふたつめにITないしはAIを絶対的な武器に戦うこと。 そして、このふたつ以上に重要な3つめの要素が、われわれ日本勢とマグニフィセントセブンの差を生んでいます。 それは最も高付加価値を生む箇所を支配していくことです。エヌビディアを例にとれば、彼らは製造業でありながら、日本企業のように物作りをビジネスモデルとしては外部に出しています。 製造業としての最大の付加価値はチップの設計部分であり、チップを導入する顧客企業へのコンサルティング部分であることに気づいているからです。 アップルも同じでメーカーでありながら製造は外部であり、部品の多くは日本製です。でも造り上げるアップルのブランドイメージは自社最大の強みとして内部に保有しているのです。 それと対比すれば、今回挙げた日本の7人の侍企業たちはいずれも、自社の強みに頼り過ぎているように感じます。一見似た企業行動に見えますが、現実にはその強みと、最大付加価値の箇所が一致していない。だから時価総額にして10倍以上の差がついてしまっているわけです。 日本企業がマグニフィセントセブンになりたいという野望をもつのであれば、やはり「最大の付加価値を生むモデル」のあり方に改める必要がありそうです。 さらに連載記事「「新・Vポイント」の破壊力がヤバすぎる…! セブンにローソン、マックにサイゼ、ドトールでも「7%還元」の衝撃」では、日本国内のポイ活戦争についても解説していますので、ぜひ参考になさってください。
鈴木 貴博(経営戦略コンサルタント)
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