LGBT先進国アメリカ トランプで分断加速も未来は明るい?
日本におけるLGBTの未来は?
総じて正しい方向に向かっているというライアンさんやピーターさんの実感にはなんの異論もない。しかし同時に、20年前と比べて米社会は確かに変わったが、マシューさん事件のような悲劇が二度と起きないと言い切れるほどは変わっていないのではないかとも思う。マイノリティへの憎悪を煽ることで、社会の分断を支配パワーに変える人間が国を治めている現在はなおさらだ。 日本では米国より20年、おそらくそれ以上遅れてLGBTと言う言葉やLGBTの人びとの権利が語り始められた。全米で大ヒットを記録した「クレイジーリッチ!」の主演女優が、「ハリウッドのアジア人ステレオタイプはもうこれで終わりにしたいか?」とインタビューで聞かれ、「いいえ、私はすべてのアジア人ステレオタイプが残っていてほしいと思います。ステレオタイプが一番恐ろしいのは一元的になってしまうこと。そしてもっと恐ろしいのは全く語られないことです」と言っていたのを思い出した。日本のLGBTの人びとを取り巻く状況は、その「もっと恐ろしい」状態を抜け出し、いわゆるステレオタイプが語られる地点にまで来ているとも言える。日本のLGBT問題も米国と同じように、行きつ戻りつ「総じて明るい」方向に進んでいくのではないだろうか。 《関連記事》 ・Memorializing Matthew Shepard(The Hill) ・米国:LGBTの平等を脅かす州法(ヒューマン・ライツ・ウオッチ) ・In U.S., Estimate of LGBT Population Rises to 4.5%(ギャラップ)
-------------------------- ■金子毎子(かねこ・まいこ) 米ブルックリン在住。ニューヨークの日系新聞編集長を経て、現在は国際人権団体のコンサルタントおよびフリーランスのライター、編集者、翻訳家