東京科学大・東海国立大学機構…国立大の統合、四つの事例で法人改革を見比べる
奈良国立大学機構 地元に密着、寄付増額
奈良女子大学と奈良教育大学が2022年に統合し、誕生したのが奈良国立大学機構。女性リーダーや教員の育成へより大きなパワーを求めた両大学が手を組んだ。 ただ奈良女子大は「奈良のコミュニティーと距離があった」(榊裕之理事長)と認識する。このため両大学に奈良県立大学や奈良国立博物館などの研究機関とタッグを組み、分野横断の特別講義週間を設けるなど地元との連携を進める。産業界や自治体との連携プラットフォームの活用など多様なつながりを増やす方針。 DMG森精機の森雅彦社長など国内外の12人がアドバイザリーボードに就任、12人の助言やネットワークを活用して講義内容の充実や留学生受け入れ拡大などを図っている。これらの活動が評価されたのか、23年度の個人や企業などからの寄付金額は統合前の21年度に比べて2・3倍の約2億8000万円に増えた。 奈良女子大はお茶の水女子大学と並ぶ国立女子大の双璧として名高い。奈良教育大もプライドがあり「2大学が一緒により高いところを目指すマインドを持つのが課題だ」(同)と捉える。 双方の学生が履修できる科目が30科目に増えており、いかに連携を深めるかがカギを握る。