まひろと周明が再会した「大宰府の市」 時代劇の聖地でロケ 五節の舞も撮影 光る君へ「美術」の世界
平安時代、長編小説「源氏物語」を執筆した紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」。旅に出た主人公のまひろ(吉高由里子、後の紫式部)が訪れたのが西の都・大宰府(現・福岡県)だ。まひろと周明が再会を果たした国際色豊かな市の撮影は、岩手県奥州市の歴史公園「えさし藤原の郷」で行われた。 【写真】国際色豊かな大宰府の市 ■北宋の絵巻を参考に 朱色の建物、市で売られる薬や文房具・・・。大宰府の名物「梅ケ枝餅」も売られている。宋の商人も集う、大宰府の市は活気あふれる国際都市を象徴する場所だ。亭と呼ばれる東屋を中心に、唐風の家具や陶器などさまざまな商品が露店に並ぶ。 番組美術のチーフデザイナー、山内浩幹さんは「大宰府は当時の外交窓口なので、国際色豊かな市を表現しました。亭を中心に、柳や竹、太湖石を配した中国風の植栽などで、平安京の市との違いを演出しました」と話す。 デザインの参考にしたのは北宋時代の都のにぎわいを描いた中国の絵巻物「清明上河図(せいめいじょうがず)」だ。立ち並ぶ露店やその前で飲み食いしている人などが細かくいきいきと描きこまれている。 セットデザインを担当した枝茂川泰生さんは「傘を使ってお店を広げたり、馬で荷物を運ぶ様子が描かれていたりしました。この図をインプットして、特徴的な部分をロケにアウトプットするような感じで考えました」と話す。 ■美術セットを持ち込んで ロケが行われたのは「えさし藤原の郷」だ。平安時代の貴族が住んだ「寝殿造り」の建物や政治をつかさどる「政庁」など大小約120の建物が並ぶ。「再現度の高い平安時代の建物群があることが貴重なことに加え、国宝や文化財の建物と違ってロケが容易なんです」と枝茂川さん。 時代劇の聖地ともいえる場所で、「鎌倉殿の13人」や「麒麟がくる」など大河ドラマの撮影も多い。「光る君へ」では、まひろの五節の舞のシーンなどが撮影されてきた。 大宰府の市の撮影では、政庁北側の広場を使用。国際色豊かな雰囲気を演出するためにテーマカラーは赤に。亭や露店、越前編でも使用された太湖石などのセットや植栽、小道具などを持ち込んだ。梅ケ枝餅や梅文様の装飾など大宰府を象徴する「梅」を随所に配したという。 ■粘土で梅ケ枝餅