日本居住だと所得税が納税できない、まさかの事態に…フリーランスのブロックチェーンエンジニアが「バンコク移住」を選択した必然的理由【弁護士が解説】
自社発行トークンでの報酬、日本在住では納税もままならず…
小峰:どういった経緯で海外移住したのですか? 佐藤:私がもともと海外に興味があったというのも理由のひとつですが、それ以上に切実な理由もあります。私が受け取っている報酬は、現金のケースもありますが、業務委託先の会社自身が発行しているトークンで受け取っている分が多いのです。 小峰:なるほど。 佐藤:自社発行トークンで受け取っているとはいえ、報酬として金銭的価値のあるものを受け取っているわけですから、所得税の納税をしなくてはなりません。しかし、その自社発行トークンを日本国内の暗号資産取引所では現金に換金することができません。したがって、納税するための原資を作ることもできないのです。 小峰:それは大変ですね! 佐藤:日本に住みつつ日本で納税することができないので、海外移住せざるを得ませんでした。 小峰:日本の暗号資産取引所で取り扱う暗号資産は、いわゆる「ホワイトリスト」のトークンに限定されていますから、新規に発行されたトークンを日本国内で換金できるのを待つのは、たしかに現実的ではないですね。 佐藤:はい。止むに止まれぬ事情です。 小峰:日本がブロックチェーン立国を目指すのであれば、政治家に真っ先に動いてほしいポイントのひとつですね。
バンコクは日本人にとって住みやすいエリア
小峰:海外移住が必須だったということですが、なぜバンコクを選んだのでしょうか? 佐藤:バンコク以外に、シンガポール、マレーシアの首都クアラルンプール、フィリピンの首都マニラも考えました。しかし、シンガポールは、物価が高すぎますよね。コンドミニアムの家賃など、東京の3倍くらいします。それに、国が狭くて楽しみが乏しいように思いました。 小峰:ほかのエリアはどうでしたか? 佐藤:マレーシアの首都クアラルンプールは、物価は手頃でしたが、飲みに行く場所も少ないですし、マニラは、子連れで行くには治安がイマイチですね。 小峰:バンコクでは、どのエリアにお住まいでしょうか? 佐藤:スクンビット通り界隈に住んでいます。バンコク在住日本人の大多数が住んでいるだけあって、何から何まで揃っていて、便利です。私の場合、妻と子ども1人の3人家族で、犬も一緒です。しかも、1部屋は仕事用に使いたいという希望もありました。 小峰:わんちゃんも一緒ですか。 佐藤:はい。そのため、ペット可で、ベッドルームが3つあるコンドミニアムを希望していました。ほかにも、バスタブがある、幼稚園が近いなど、かなり希望が多めでした。それでも、これらの条件をすべて満たしたコンドミニアムが見つかりました。