〈べらぼう・全裸遺体役〉「7時間伏せたままだった」「トイレも我慢」NHK大河“女郎の遺体シーン”を演じた女優が話す初めてのコト
大河では初めて「インティマシー・コーディネーター」を起用
また、今回はNHKドラマ10『大奥』に次いで、NHK大河では初となる「インティマシー・コーディネーター」が起用されたことも話題となった。これは性的な描写の撮影の際に現場に立ち会い、演者の尊厳を守りつつ効果的な演出に繋げる役割で、藤さんはその手厚さを感じたという。 「撮影に入る1ヶ月前にリモート打ち合わせで、局部が見えないように前貼りの着用やバストにもシリコンブラをつけることなどの説明を受けました。現場では前貼りを3重くらいつけていただき、シリコンブラの下にはバストトップシールまでつける厳重さでした。カメラの切り替えなどの合間は5、6人のスタッフが集まりタオルで囲いを作ってくれ、肌見せを最小限にするために気遣っていただきました」 藤さん本人は「そこまで気を遣っていただかなくても…」と感じるほどだった。 「おそらくスタッフの皆さんも、『裸の女優が現場にいる』という、これまで経験したことのない状況に困惑していて、かなりピリついている感じは見て取れました」 だが今回の撮影に参加したことは、藤さんにとっても「かけがえのない経験になった」と言う。 「吉原で裸で働く女性たちに対し“おまんま食えるように俺らが頑張る”って意気込む蔦重に、なんだか裸で働く私たちまで応援してもらったような気がして…本当に良い体験をさせていただきました」
「セクシー女優さんは“見せていい人”という意図を感じた」
エイトマンには一体どんな経緯でNHKから撮影依頼が来たのだろうか? 代表は「詳しい経緯は話せないが」と前置きをしながらこう話してくれた。 「NHKさんは数あるAV事務所の中からエイトマンを選んでくれました。女優の指名は特になく、キャスティングは任せてもらえたんです。最初は実は遺体役は嫌やなあって思ったけど、視聴者の皆さんが“NHKが攻めてる!”とか“本気を感じる”と盛り上がってるのを見て、こんなに多くの方が本気を感じる作品に加われたことはなによりやと思いました」 ただ一方で、NHKドラマに詳しいライターの田幸和歌子氏は、この話題のシーンにこんな違和感も覚えていた。 「4人の遺体のシーンでは、元宝塚歌劇団の愛希れいかさん演じる朝顔の臀部を隠すようにセクシー女優さんが折り重なって転がされていました。まるで愛希さんは“見せちゃいけない人”で、セクシー女優さんは“見せていい人”というような意図を感じてしまいました。その待遇の格差や、脱ぐ役としてセクシー女優を起用した意図にグロさを感じてしまいました」 理不尽な格差や搾取を描くドラマだからこそ、その表現や演出自体に理不尽な部分が出てくると、観る側は違和感を覚えてしまうものだ。だからこそ、賛否両論のあるシーンだったのかもしれない。 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班