<春風を待つ―センバツ・宇治山田商>8強へ期待「まんぷく」 球児行きつけ、食堂店長エール パワーの源「からあげ丼」 /三重
センバツで2回戦へ勝ち進んだ宇治山田商は、大会第7日の第3試合(午後2時開始予定)で中央学院(千葉)と対戦する。初の甲子園2勝に向けて地元の期待は高まっており、宇治山田駅前にある野球部員の行きつけの「まんぷく食堂」(伊勢市岩渕2)は来店客の間で山商の話題でもちきりだという。【原諒馬】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 壁には1月にセンバツ出場が決まった時の毎日新聞号外が貼られている。店長の鋤柄(すきがら)大平さん(46)は、客と紙面を見ながら「頑張ってほしいね」と言葉を交わす。 店は1975年、鋤柄さんの両親が開店し、鋤柄さんは2代目。来客の9割が注文するという「からあげ丼」は、だしで味付けした卵と唐揚げの相性が良く、山商生だけでなく地元の高校生や伊勢市民の「ソウルフード」として愛されている。 店内の壁には、宇治山田商が2008年春のセンバツに出場した際の新聞各紙の切り抜きも貼られている。当時の主将、北川直峰さん(33)は「チームが取材された記事が、店内にどんどん貼られていった。地元に支えられているという気持ちになり、力をもらった」と振り返る。 21日の1回戦・第1試合は、鋤柄さんは開店前に仕込みをしていてテレビで観戦できなかった。試合終了後に「勝ったぞ」と店に飛び込んで来たOBや常連客と一緒に、喜びを分かち合った。閉店後、試合の録画を繰り返し見たといい、「ハラハラする試合で、何度でも見られるね」。 23日には宇治山田商の一塁手・泉亮汰(3年)の父で、野球部の保護者会代表の肇さん(50)が店を訪れた。伊勢市の県立明野高野球部出身の肇さんは、「僕も球児の時によく食べに来た。現役の山商生もお世話になっている。長年、応援してくださっているので感謝を伝えたい」と目を赤くした。その姿に、鋤柄さんは「思わずジーンときた」と話し、「本当に地元が盛り上がっている。2回戦も勝ってベスト8へ」と期待した。 〔三重版〕