教育ライター中学受験伴走記②「中学受験してよかったと思える学校に合格させないと...」視野が狭くなった母の切実な望みがおそろしい!?
徒歩圏内の中学受験塾の席を確保するため、モヤモヤしながらも低学年から息子を通わせることにした我が家。 「まあ、言葉は悪いけど席取りだし、ゆるく通えばいいかな?」とのんきに構えていました。 ……しかしひとたび始めてしまうと、そううまくはいきません。
驚愕!SNS上の武勇伝
いざ塾に通い始めると成績がなんだか気になってしまいます。低学年と言えどもテストの成績で10段階以上からなるコース昇降がありますし、偏差値も順番もでます。 最初から勉強に苦手意識を持ってほしくないので、あまり低い点は取らせたくない。3年生になる頃には「漢字と計算は落とさないように頑張ろう」などと言い始めました。 とはいえ、SNSで見るような「英才教育」「中受フルコミット」は、仕事を半分言い訳に、できそうもありません。もしリソースがあったとしても、まだ10歳にもならないうちから勉強勉強と言うのはどうも違う気がする、と良い母ぶりたい気持ちもありました。 そんな中途半端な母のもの思いを蹴散らすような、秀才親子たちの武勇伝と実況中継がSNSのなかに溢れています。 低学年でも土日の午前中4・5時間は勉強、午後は目いっぱい遊んでOK。 先輩ママに紹介してもらった凄腕の家庭教師をつけている。 先取り算数塾を掛け持ちしている。 個別指導塾にも課金中。 母が間違えた問題を集めてカードを作り、隙間時間に繰り返す。 メルカリで「過去問」をGET。ライバルに差をつける。 小6の秋までサッカーをやっていたけれど御三家合格! 秘訣は母の生活サポート。 理科が苦手だったので有名な実験教室に通って実体験を積ませた。 「よ、よくやるなあ……」 私は、おっかなびっくりでスマホを見ながらため息をついていました。フリーランスで時間の融通がきくとはいえ、ある意味では厳しい環境です。仕事を断ってしまえば収入はなくなりますし、原稿の品質を落とせばもう依頼はありません。そんな私が、教育ママみたいに頑張る気力も時間も、正直残っていないし……。 仕事は頑張りながら、できる範囲でサポートしよう。そのためには、できないこともあるのだ! そう言い聞かせていました。最初は。すごいお母さんのお話をきくと、「それはまたレベルが違う話ねえ、うちには関係ないな」と、自分たちとはまったく違う世界線の話だと思っていたのです。 でもあるとき、中学受験と縁もゆかりもない友人が、胸に刺さることを言いました。
佐野 倫子