差別?中国人患者への“病院アンケート”が物議 竹中平蔵「病院側の事情も分かるが、やり方としては問題だ」
■「病院側の事情も分かるが、やり方としては問題だ」
番組取材によると、病院側は、医療の現場でのコミュニケーションは重要で患者の命を守るためにもこういったアンケートは必要。また、翻訳環境を用意できないため、最低限の日本語能力もしくは理解しようとする姿勢があるかどうかのチェックが目的としている。 病院側の外国人患者が訪れた時の手順は「(1)日本語か英語がカタコトでも喋れるか?」「(2)他の手段はあるか?(知人が電話で通訳など)」「(3)最後の手段としてアンケートへの記入を求める」。アンケートをお願いするのは外国人患者の5%以下で、2年前から外国人患者を受け入れるために始め、これまでトラブルはなかったという。 医師のDr.コイン氏は、中国人の少年の件について、「差別かどうかの議論になるのは非常に理解できる」。一方で、「当該のクリニックの場合は、一人の患者さんがトラブルになったら、診療の全てが止まってしまう。過去の被害を背景としたリスク管理を行っているとおっしゃるのであれば、そういったことが起き得る対策の一つとして考えられたのだろうなと。そういう意味で理解ができる」と語った。 Dr.コイン氏によると、よくある外国人患者トラブルには「納得できないと支払いを拒否」「行方不明・連絡が取れない」「待ち時間・診療内容などに大声で文句」「診療の順番を守らない」などがある。 しかし、医師法第19条「応召義務」で、診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、拒んではならない。「外国人患者への応召義務」には文化・言語の違いでの診療拒否は正当化されない。ただし診療行為そのものが著しく困難である 事情が認められる場合は例外だとしている。 経済学者・慶應大名誉教授の竹中平蔵氏は、「信頼関係が非常に損なわれる場合、応召義務はお断りしていいが、人種を理由にしては、やっぱり駄目だ。だから、アンケートではなく、『この注意書きを読んでくれ』、『分かった』という確かめ方をするべき。それだったら日本人全員にやってもおかしくない。病院側の事情も分かるが、やり方としては、ちょっと問題だ」と述べた。