睡眠に影響を与える「起床後1時間以内の朝食」 専門家が勧めるメニューとは?
朝のタンパク質と糖質で集中できる体を作る
では、睡眠の質を高める朝食のメニューをご紹介します。 ポイントは前述のように、睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となるタンパク質を中心に、糖質その他をバランスよく取り入れることです。といっても、簡単なもので十分。朝から和定食なんて、頑張る必要はありません。 ●卵+ 米かパンに野菜を添えて 私が忙しい会社員だったときは、ゆで卵や温泉卵を作り置きしておき、ごはんと一緒に食べてから出社していました。卵かけごはんでも、味噌汁の残りに卵を落としたものでもかまいません。「卵1個(タンパク質)と米、またはパン(糖質)、プラス野菜があればなおいい」くらいの感覚でメニューを組み立ててください。 タンパク質として取り入れるのは、卵のほかには納豆もおすすめです。朝はなるべく調理のいらないものがラクなので、私は卵や納豆をおすすめしていますが、もちろん、夕飯の残りや作り置きの肉や魚があればそれもOKです。 ●「スムージーだけ」「ヨーグルトだけ」はNG 最近は「朝はスムージーだけ」という人も少なくないですよね。でも野菜や果物で作るスムージーでは、タンパク質がほとんどとれませんし、胃腸が動きにくいという問題があります。胃腸をちゃんと動かすには固形物を食べるのが望ましいのです。 「今朝は時間がないからヨーグルトですませたい」というときも、グラノーラを少し加えるなどの工夫をしてください。 忙しい朝の強い味方といえば、バナナです。というのも、トリプトファンがメラトニンに進化をするためには、ビタミンB6、葉酸、マグネシウムなど、さまざまな栄養素が必要となるのですが、バナナには、ビタミンD以外の睡眠に必要な栄養素がほとんど入っていて、オールマイティーな食材なのです。忙しくてどうしても朝食をとるのが無理な場合は、バナナを1本だけでも食べてから仕事に出かけてください。 同じバナナでも、スムージーやジュースにしてしまうと、咀嚼がなく、胃腸が動きにくいという欠点があるので、やはりここでもバナナそのものが理想です。 ●糖質が足りないと不機嫌になりがち コンビニでタンパク源を調達するなら、サラダチキンもいいですね。ただ、必ずおにぎりやパンなども一緒に食べてください。 これは私の会社員時代の体験ですが、定期的に集中してダイエットしている上司がいて、ダイエット期間にサラダチキンしか食べないという食生活をしていました。 その上司が、糖質が足りないために幸せホルモンのセロトニンが分泌されず、やたらとまわりに当たり散らして、迷惑をかけていたのです。 以上は少し極端な例かもしれませんが、セロトニンが足りないとイライラしたり落ち込んだりしやすくなるのは確かです。これでは、起きている間の生活の質も下がってしまいますね。 ●どうしても時間がなければガムを噛む もうひとつ、「噛む」という行為自体も、セロトニンの分泌に大きな役割を果たしているため、とても大切です。 前述のスムージーやヨーグルト、またプロテインなども、咀嚼がないという点でも朝食にふさわしいと言えません。何を食べる場合も、しっかり噛むことを意識してほしいです。 時間がなければ、せめてガムを噛むだけでもかまいません。それがリズム運動になるので、セロトニンの分泌に役立ちます。高いパフォーマンスや良好な人間関係を保つためにも、「朝食は必ずタンパク質と糖質をセットでとる」、そして「よく噛んで食べる」という鉄則を守ってください。