【国際女性デー】SHELLYさん「男性も女性も得をしないルールはもう変えよう」世間の常識を塗り替える"NO"の力
【離婚を機に始めたカウンセリングから生まれた変化】 ──チームだからこその強みですね。未来に向けて発信していく上でも、自分の心と体の健やかさは大切な土台だと思いますが、SHELLYさんは普段どんなケアをされていますか? SHELLYさん: 私はメンタルヘルスのためにカウンセリングを活用しています。友達の長谷川潤ちゃんから離婚をきっかけに勧められたんですけど、「今は船に穴が開いている状態。たまってしまった水を全部出し切ったと思っても、穴が開いている限り水はまたたまるから、『もう大丈夫』と思っても通い続けないとだめ」って言われて。当時は本当にしんどくて心が溺れそうだったし、騙されたと思って続けてみようと。 船に残った傷は完全には治らないし、1時間のカウンセリングで答えが出るわけでもないけれど、ちょっとずつ修復作業を続けながら、「自分はどういう生き方をしたいのか」「どういう母親になりたいのか」「どんなパートナーでいたいのか」を考えていく時間は、すごく大事だなって実感しています。 ──その時間ができたことで、どんな変化が生まれましたか? SHELLYさん: (隣にいるマネージャーさんに)めちゃくちゃ変わったよね、私。20代の頃は、「大人としてちゃんとしなきゃ」「色々なことを抱えているのはみんな同じ」って、自分に意識を向けるよりも前に進むことばかり考えていました。でも、カウンセリングを通じてこれまでを振り返ったときに、初めて自分の考え方の癖みたいなものが見えたんです。 自分の核となる価値観や考え方は変わらないけれど、考えや気持ちを整理するうちに「親からの教え」と「自分の考え」、「社会的な刷り込み」と「自分が発信したいこと」というふうに、少しずつ分けて考えられるようになりましたね。 おかげで自分との向き合い方や表現の仕方はすごく変わったと思います。「本当に頑張ってる」って自分を褒めたい。その感覚は離婚前にはなかったし、今も「自分はダメだな」って思うことはあるけれど、「でも、それに気づけただけいいや」と思えるようになりました。 【あなたの「NO」には力がある。人生の舵取りをするのは自分だから】 ──それはとても大きな変化ですね。お話を伺っていると、“自分”を軸に生きていくことの大切さを強く感じます。SHELLYさんがYouTubeチャンネルでおっしゃっていた「自分で人生の舵取りをしている感覚を持ってほしい」という言葉もとても印象的でした。 SHELLYさん: すべての選択はあなた次第だし、あなたの「NO」には力がある。これは本当にみんなに伝えたいこと。嫌なことは「嫌だ」って言っていいんです。性的なことに限らず、仕事でも友達関係でも親に対してでも、あなたには「NO」と言う価値がある。 皆さんからの声を聞いていると、「私なんかが…」と考えしまう人が本当に多いし、私自身、「嫌だ」と言えないこともあります。でも、「NO」が言える関係性って「私はこうしたい」も言いやすいと思うんですよね。例えば、セックスでも「痛い」とか「あ、ちょっとそこ違う」が言えないと、「もっとこうしてほしい」も言いづらいんじゃないかな。コミュニケーションを深めるためにも「NO」を言う練習はすごく大事。 ──お互いの心や体を尊重し、「NO」が言える関係性を育む上でも、性教育が大切なカギになりますね。 SHELLYさん: そうなんです。例えば、好きな人に対して「申し訳なくて」とか「嫌われるかも」っていう理由で「NO」が言えないとしたら、それはちょっと危険信号かも…ということを子どもの頃から知っていれば、もっと自分の心の声を意識するようになると思うんです。 ──SHELLYさんがカウンセリングで経験した自分を振り返る作業は、まさに心の声を聞くこと。それを身につけることで、心の揺らぎもうまく受け止められる気がします。 SHELLYさん: 大人になればなるほど、空気を変えない・壊さないとか連帯責任みたいなことに慣れすぎて、「なんかちょっと違うよね」って言えなくなりがちじゃないですか。20代、30代って、そういうフィルターが増えるタイミングだけれど、まだまだ変われるから大丈夫。そのためにも、自分の心の声に耳を澄ませて、それを信じることが本当に大事だと思います。 「今、勝手にフィルターかけてるかも」と気づくことはもちろん、「私は今、モヤっとしたものを抱えているけれど、これは何に対するモヤモヤなんだろう」って、誰の・何のための我慢なのかを考えたほうがいいと思います。理不尽な我慢はしなくていいんですよ。 友達とかパートナーとか、自分の大切な時間をシェアする相手は「NO」が言える人にするっていうのもありだと思います。「あ、それはいいや」とか「その日は行かない」とか「これは食べたくないな」とか、日常のコミュニケーションで気軽に「NO」を意思表示できる関係性は、きっとお互いに生きやすいんじゃないかな。 SHELLY 1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー後、タレント、MCとして幅広く活躍。YouTubeチャンネル「SHELLYのお風呂場」やDMMオンラインサロン「SHELLY家族ラボ」などを通じて性教育や家族、コミュニケーションにまつわる発信を積極的に行っている。8歳・6歳・1歳の娘の母。 ジャケット¥30,900・中に着たワンピース¥17,900/Desigual(デシグアル 東京 銀座中央通り)、ピアス¥22,000・ネックレス¥20,900/ADER.bijoux(ADER.bijoux showroom) 撮影/花盛友里 ヘア&メイク/高橋純子 画像デザイン/坪本瑞希、前原悠花 スタイリスト/野田さやか 構成・取材・文/国分美由紀