“循環する美食”で質とサステナブルを両立【進化する幸せ産業】
「ピザ フォーピース 東京」では、メニューにも注目してほしい。食材から家具、器、ナプキンにいたるまで、サステナブルな未来を築きたいという思いに共鳴する作り手の情報が掲載されている。埼玉県小川町の自然栽培農家や北海道の小麦農家など、美食を支える多くの作り手とのつながりを感じられるだろう。メニューの各コンテンツは読みごたえがあり、わくわくするビジュアルだった。1冊の雑誌のようなクオリティーの高さに驚く。サステナブルな取り組みを発信するだけでなく、「仲間になろうよ」と問いかけられているような意思が伝わってくる。
益子夫妻が提供したいのは、親しい仲間とピザを囲んで過ごす豊かな時間だ。“Make the World Smile for Peace”の企業ビジョンのもと、幸せな未来へとつないでいく。
■ピザ フォーピース 東京 住所:東京都港区麻布台5丁目10-7 虎ノ門ヒルズ ガーデンプラザD 1F 時間:ランチ 11:00~15:00(L.O.14:00)ディナー 17:00~22:00(L.O.21:00) 定休日:火曜日
廃棄物ゼロを目指す
注目の“シェアする”フレンチ
日本を代表するフレンチの巨匠、三國清三シェフもまた、サステナブルな美食に取り組む料理人の一人だ。麻布台ヒルズの森JPタワーにオープンした「ダイニング33(Dining 33)」は、三國シェフにとって初の試みである、シェアスタイルのグランドビストロ。ランチはアミューズを含む6皿6000円、ディナーはメイン2品の7品1万1000円の本格的なフレンチコースだ。ランチとディナーともにメイン料理が迫力ある大皿でサーブされ、食べたい量を取り分けるシステム。大皿を囲みながら親密さを演出し、食の楽しさを再認識する仕立てとなっている。食べられる分だけ取り分けることにより、フードロス軽減を目指す。
三國シェフの、料理から器、サービス内容にいたるまで、日本の風土を取り入れたフレンチを表現する思想「ジャポニゼ(JAPONISEE)」はここでも健在。三國シェフの故郷である北海道増毛の海の幸、伝統的な“江戸東京野菜”なども積極的に取り入れ、食材について学ぶ大人の食育でもある。実はJP森タワーの33階は、麻布台ヒルズ入居企業のための会員制ウェルビーイング施設の一部。「ダイニング33」は一般のゲストも利用できるが、懇親や接待など、ビジネスユースも見込んでいる。三國シェフは、スローフードの推進や、病院のウェルネスフードにも積極的に取り組んできただけに、高感度な層に食の循環について感じてもらう狙いもあるのだろう。