3Dモデル「もう一人の自分」に 個人情報管理、会話も 落合陽一氏が万博で作成技術公開
2025年大阪・関西万博でパビリオン(テーマ館)を出展するメディアアーティストの落合陽一氏は27日、万博の来場者が使う3D(3次元)モデルを作成して、自分の個人情報を管理する技術を初公開した。落合氏と共同で展示内容を企画する半導体・IT関連商社のマクニカが横浜市内で開いた技術展示会でお披露目した。万博では、来場者がデジタル上で自身の分身を作成し、自分と会話するような展示を行うという。 3Dモデルは、スマートフォン1台で自分を周囲360度から撮影すれば、数分で立体画像が作成できる。大規模言語モデルや米半導体大手エヌビディアのAI技術を活用したデジタルヒューマン型ID基盤「Mirrored Body(ミラード ボディー)」によって、口元が動き、自然な受け答えの会話ができるようになる。 落合氏は「データを持った第2の自分をつくる。自分の疑問に、もう一人の自分が答えてくれるようになる。社会実験をするのに一番いいタイミングが万博」と話す。例えば、幼少期からの予防接種の記録や病歴、アレルギー情報を持ったデジタル上の自分が、現実の自分に薬の飲み合わせなどの健康情報を助言してくれるといった未来が実現するという。 ■カード型の〝鍵〟で情報利用 落合氏は、「自分のデータを自分で持っていることが重要」と語り、3Dモデルとともに健康データや仮想通貨などの資産といった全ての個人情報を保護するシステムを公開。個人情報を利用する際の鍵の役割を果たすカード型のハードウォレットを発表した。 個人情報は暗号化し、安全性を確保した形で保存されており、カードに内蔵されたICチップを読み取って暗号化を解いて利用する仕組みとなっている。ハードウォレットは現在は仮想通貨などの資産を管理する専用アプリで利用できるが、万博ではさまざまな3Dモデルと一緒にさまざまな個人情報を一元的に管理できるアプリを新たに提供するという。 ■展示内容は「鏡」がテーマ
落合氏が手掛けるパビリオンの名称は「null2(ヌルヌル)」で、鏡がテーマ。建物は鏡のように自分の姿を映し出す特殊な膜でで囲まれたデザインとなっている。会期中の来場者は50万人を計画しており、落合氏は「自分の分身を持ち帰ってもらいたい」と話した。(高木克聡)