臨海副都心エリアのアートフェス「ARTBAY TOKYO」レポート。人と場所が交差することで生まれる新たな体験
「人と場所をアートでつなぐ」ことをテーマにスタートしたアートプロジェクト「ARTBAY TOKYO」。その一環として臨海副都心エリアを舞台に2024年9月27日(金)~10月6日(日)に「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2024~Port of Dialogue~」が開催されました。 【画像】巨大な「ピンクの猫の小林さん」のAR体験が楽しめる。 会期中は先進的なテクノロジーを使った体験型VRアートや、臨海副都心エリアをスタンプラリー形式で楽しめる参加型XRアートのほか、親子向けの作品制作ワークショップなどがズラリ。臨海副都心をより魅力的な“まち”へとするために毎年実施されている、体験型アートフェスティバル「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2024~Port of Dialogue~」のレポートをお届けします。
「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2024」は対話がテーマ
第3回目の開催となる今年のテーマは「Port of Dialogue 対話しよう。じぶんと、世界と、未来と。」。手にも見える、人にも見える、まちにも見える。1つ1つのアイコンが対話して重なり合い、意識的にそして無意識的に変わってひろがっていく。そんな色鮮やかでワクワクするアートフェスをイメージしています。 一般的なアート鑑賞は観て楽しむものが多いですが、今年はインタラクションを重視。自分たちがアクションを起こすと作品ができあがるような対話型のアートが豊富です。今までと違った新たなアートとの出会いを通じて対話が広がる…そんな風にアートを楽しんでみては。 ユニークで先進的なARTBAY TOKYO アートフェスティバル2024の代表的な見どころをエリアごとに振り返ります。
フラッグの一部を切り取ったブックカバーに包まれた200冊超の本との”対話”
◆世界との対話:「花の広場」エリア 国際展示場駅ロータリーの南側に広がる「花の広場」は、ARTBAY TOKYOアートフェスティバルの入口となるメインエリア。高さ4メートルもの外洋帆船のデザインをモチーフにした作品が並んでいて、遠くからでもよく目立ちます。現代アーティストである椿昇さんの作品《まるい水平線》です。 「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2024のアーティストとして「対話」というテーマをいただいたことは、パブリックアートのイノベーションを模索する私にとって重要なステップとなった。ついつい下を向いてしまうことが多いけれど、顔を上げて水平線を見て、水平線が丸かったんだというのを思い出してほしい。ここでは港にまつわる本を選書しました。キッチンカーも用意しているので、夕暮れ時にビールを飲みながらゆっくり対話をしてみてほしい」と椿昇さんは語ります。 帆のグラフィックを手がけたのは若手アーティスト松村咲希さん。グラフィックは、置かれている本のブックカバーにもなっています。 「日差しの色や風の流れ、方位磁石に見える矢印のモチーフなど、想像を掻き立てるような抽象的な絵画にしました」(松村さん) よく見るとフラッグにはいくつもの数字が書かれています。なんだと思いますか? 2000以降が多いので、これから先の未来のことかな? と思いましたが「2000以上の素数」とのこと! 臨海副都心ということもあり、ここに置かれた本はすべて港町出身の作家や港町を舞台にしたもの。フラッグに描かれた数字同様、素数をテーマに223冊の選書が置かれています。選書したgood title books 店主の倉成英俊さんは、「東京が『日本最大の港』ということを再認識してほしいので、港町出身の作家の本を集めました。世界中の港にまつわる本を集めることで、世界中との対話ができるようになります。」と言います。 本は、その内容について家族や友人など誰かと“対話すること”を条件に、1日先着17名まで持ち帰ることができます。その際は、持参した書籍と交換することも条件。交換された新しい本がきっかけに、新しい対話が続くようにという思いが込められています。筆者が訪れた時に、パッと手に取ってみたら、湘南出身のアーティスト、桑田佳祐さんの本でした。お気に入りの一冊を探して、港にちなんだ本との対話を楽しんでみてください。