「ネットで情報追う人」に伝えたい“新聞のススメ”。SNS全盛期だからこそ紙の新聞の重要性高まる
ピンチを救ってくれたのは「紙の日経新聞」でした。退職して数カ月後、朝食時にパラパラとめくるようになって、「紙の新聞って、こんなに便利だったのか」と驚きました。情報収集の効率がネットよりはるかに高いのです。今は新聞で全体をカバーしてネットで補足するスタイルでニュースをチェックしています。 ■紙の新聞の魅力を若者に伝えたい この「紙の新聞」の魅力を若い世代に伝えたい。そう考えてみて、ふと疑問が浮かびました。
多くの若者は「紙の新聞」の読み方を知らないのではないか。私たちの世代にとって当たり前の「新聞を読む」という行為が、その意味も方法も、まるで理解されていないのではないか、と。 そこで私は、「30日間、新聞を読んでみよう」プロジェクトを始めることにしました。これは、とある20代の若者ふたりに対して、私が1カ月間かけて新聞の読み方を伝授するという企画です。 「新聞の読み方」講座で最初に伝えたのは、「新聞の最大のメリットは『読まなくてもいいこと』である」でした。読むのではなく「眺める」。紙の新聞の価値は、ニュースの概要と重みが一目で分かる見出しとレイアウトの一覧性にあります。
ざっと眺めて日々めくるだけでいい。時間があれば気になる記事だけ拾い読みする。ほとんど読みもしない紙の束に1カ月5000円も6000円も払うなんて、もったいない。そう思うかもしれませんが、紙の新聞の費用対効果、いわゆるコスパ(あまり好きではない言葉ですが)がとてもいい。タイパ(もっと苦手な言葉です)も素晴らしい。コストと効率の両面で最強のメディアです。 「それはオジサン(今年で52歳です)の意見でしょ」と鼻で笑いたくなる気持ちはわかります。でも、それは「読んだことがないから」だと思います。
特に興味があるわけでもない記事を含め、印刷された膨大なテキストが毎日自宅に届く。あらためて考えると、新聞は極めて特殊なメディアです。付き合い方にはちょっとしたコツがあります。 もっとも、もう読んでいる方はご存じのとおり、新聞を読むのは大したことではありません。たかが新聞ですから。特別な知識や訓練も必要ない。大事なのは日々の習慣とすること、そのために素早く「めくる」コツをつかむこと、そして何より楽しむことです。1日15分の積み重ねが教養の土台を育ててくれます。
■若者が見事に新聞を読む人に変身 紙面構成の基礎の基礎から、読むべきポイント、読まなくてよい記事の見分け方など勘所をお伝えした結果、それまで新聞と縁のなかった若者ふたりは見事に「新聞を読む人」に変身しました。 おふたりから「新聞を読む習慣が身について本当によかった」という感想が聞けたのはとても嬉しかったです。 だまされたと思って30日間、「新聞がある生活」を送ってみませんか。日々、新聞をめくった先に、自分なりの「読み方」が見えてくるはずです。
高井 宏章 :経済コラムニスト / YouTuber