「年間売上140円」シェアオフィスのお菓子で飢えをしのいだ女性社長が3年で「年商1億」まで会社を急成長させた逆転の発想
── 当初の社名は「ドリグロ」でした。どんな思いが込められていたのでしょうか。 西さん:みんなの好きな言葉を合わせました。突き動かされるという意味の「ドリブン」と栄光を意味する「グロリアス」をくっつけて、「ドリブングロリアス」という社名でスタートしたのですが、2か月経ってから「なんか、長くない?」となり、略して「ドリグロ」に社名変更しました。これだけでも、かなり行き当たりばったりだったことがわかるかと(笑)。2023年には「日本のすべての人に、AIのある生活を」という新ビジョンを掲げ、「アンドエーアイ」に社名変更しています。
■ビジネスの方向転換によって急成長できた ── 収入ゼロの1年目から、ビジネスをどうやって軌道にのせていったのですか? 西さん:2年目になっても売上見込は立たない状況に危機感を覚え、初めて5年間の事業計画を立てました。自社開発アプリは当たると大きいけれど、売れないとまったくお金が入ってきません。ギャンブル的な要素が強すぎるので、まずは会社を存続できるラインを維持すべく、企業や自治体からの「受託開発」を受ける方向に舵をきったことが転換点となりました。
いろんな会社に手あたり次第に問い合せたり、ビジネスマッチングサイトを活用したりしながら新規の取引先を増やして、さらに紹介やコンペでの勝利により、受託開発事業が急速に成長。おかげで売上が安定しました。 ── コンペに勝ったり、依頼が途切れなかった理由はなぜでしょう? 西さん: iPhoneとAndroidのアプリを同時に開発できる「「Flutter(フラッター)」という技術をいち早く導入していたことが大きな強みになりました。当初はまだ珍しかったのですが、「いずれはこれが主流になる」と考え、会社として力を入れてきました。2019年当時はまだFlutter開発を専門に行うのは、国内では私たちの会社くらいで、2022年には「Flutter開発が得意なシステム会社6選」(比較ビズ選定)にも選ばれました。起業3年目には、夢物語だった「売上1億円」の目標を達成することができ、すごく嬉しかったですね。